05

朔が転校してきて、一週間経った。
部屋が隣ということもあり、彼は毎日水静と共に登校する。教室でも、日織を交えて談笑に興じ、水静は着々と朔との仲を深めていった。
ある日の休み時間。水静と朔は、いつものように日織の自称武勇伝を聞いてやっていた。

「でさー、それでさー……って、結崎聞いてる?」

「まあまあ」

素っ気ない朔の返答に、日織は「えぇー」と不満そうな顔をした。

「いや、似たような話を前にも――」

水静の指摘は、他のクラスメイトのからかい混じりの伝達に阻まれた。

「みなせー、ご指名入ったぞー」

水静は廊下に目を向けると、ため息を溢(こぼ)して立ち上がった。

「すぐ戻ってくるから」

朔に笑いかけ、教室を出る。水静の姿が見えなくなってから、朔は日織に尋ねた。

「ご指名って、何のことだ?」

「あー、それは……」

困ったように頬をかき、教室の後ろに貼られた校内新聞を指差す。

「結崎は来たばっかりだから知らないと思うけど。あいつ、学年一てか校内一の美男子だって言われてて。告白してくる野郎が後を絶たないんだよな」

朔が振り向いて見た校内新聞には、一面にでかでかと水静の特集が組まれていた。

「けど、全員ことごとくフラれるもんで。おかげで"薔薇の君"とかなんとか言われてる」

「――江嶋もあいつが好きなのか?」

水静の知らない一面に、朔は少し退き気味になる。彼の問いに日織は肩を竦めて、

「いや、全然。俺は男が好きとかいう趣味は持ってないからな」

「はあ……」

何か変な学校に来てしまったものだな、と朔は思う。しかし、所詮は他人事だという風にも捉えていた。次の日織の言葉を聞くまでは。

>>続く

短いか。短いな。
これじゃ予定通りに終わらない←


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