▼ 04
「だからさっきから何なんだよ」
半ばにやにやしながら水静が彼を見ていると、不穏な視線を感じたのか、朔が目だけ水静の方に動かした。
「え、あ、いや、授業分かるのかなとか思ったり……」
「前の学校で既にやったから」
「そ、そうなんだ……」
何で彼はこんなに冷めきっているんだ。
水静は内心焦る。
若干気まずくなってしまったようなこの雰囲気で大丈夫なのだろうか。
でも、好きなものは好きなんだし、めげずにいようと思ってシャーペンを持ち直した。
黒板へ目をやると――授業は終わっていた。
「何やってんの? 水静」
シャーペンを握り締めて唖然としている水静を見て、喋りに来た日織が首を傾げる。
「いつのまに授業が終わったんだ……?」
「何寝ぼけたこと言ってるのさ。さっき『起立、礼』して終わったじゃん」
お前大丈夫かよ、と爆笑する日織。
水静は急に恥ずかしくなって、教科書とノートを片付ける。
ちらっと朔の方に目を向けると、全く二人の様子を気にも留めていない様子だった。
「それでさぁ、水静。今朝学校行く途中で――」
日織が話し出す。が、水静はほとんど耳には入っていなかった。朔のことが気になって集中できない。
その日の水静はずっとこんな感じだった。
後から話をほとんど聞いていなかったことについて、日織に文句を言われたが、それどころでは無かったのだ。
>>続く
久々の更新となりました←
だがしかし短い。
最近忙しいのだよ(´・ω・`)
今年こそはバレンタイン企画やらなきゃ……。
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