03

 朝のホームルームが終わり、待ち構えていたように日織が水静の席へ来た。ニヤつきながら絡んでくる日織を、煩わしげに水静が振り払う。

「ジロジロみんなって、気持ち悪い」

 しかし日織は、それを無視して朔へと視線を移した。そして自分を指差すと

「水静の友達で、江嶋日織。江嶋でも日織でもいいや。あ、ちなみに好きなものはオンラインゲーム」

と自己紹介した。一気にまくし立てられ、しかも特に要らない情報まで付随され、圧倒されて固まる朔。しばらく目を瞬かせ、思い出したように自分も自己紹介する。

「あ、あぁ、結崎朔です。呼び方は何でも。えっと、江嶋でいい?」

「いいよいいよー。じゃ、結崎でいいよね。あ、もしかして、俺の名前女っぽいと思った? そうだよなー、『織(おり)』なんて女っぽいよなー。何か、女の子が産まれてくると思って『沙織』ってつけようと思ってたら産まれてきたのが男だったから、ちょうど日が沈む時だったし『日織』にしたんだってさー。もうちょっと考えて――」

 立て板に水のように話す日織。彼を見て朔が、何だってこんなにおしゃべりなんだろうと半ば呆れていると、横から水静がそっと
「一度話し出すと止まらない奴だから、日織は。聞き流していた方が賢明」
と忠告した。それを聞いた朔は、曖昧な笑みを浮かべて日織の話を受け流す。

 そうして日織が喋りまくっていると、一時間目の始まりのチャイムが鳴った。

「あ、やっべ。じゃあまた!」

 一人で盛り上がって一人で騒いでひとりで慌てて帰っていった日織に、疲れたように朔はため息をつく。しかも、また来るらしい。一体これからどんな学校生活が始まるというのか――。先の見えない不安に、もう一度ため息をついたのだった。



 一時間目は英語だった。教科書が無いため、朔は机を水静とくっつけ、教科書を見せてもらう。板書をノートに写すのに、黒板とノートに交互に視線をやる朔の横顔に、水静は見惚れた。


>>続く


短い。短いねー。

どうでもいい感じに、日織の暴露話が入りました←

次は双子の過去編更新しなきゃー。


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