ぎしり、と縄が軋む。
縄を放られ30分強が経過した。そんなものを読むだけあって迷うこと無くスタープラチナは承太郎に縄をかける。始めの様にベットで足を組み名前は承太郎を愉快そうに眺めていた。

ぐっと絞められた縄が胸を圧迫して息が浅くなる。白いコートに赤い縄が食い込みいやらしい皺を作った。人と比べ厚みのある胸が縄化粧によって強調され芸術品の様な体に淫奔さを醸し出している。服もさる事ながら西洋人の血を色濃く引いた白い肌が耳まで赤い染まっている。

沈黙
双方何も言わずにただ淫らになりつつある承太郎の姿をじっと見ていた。嗜虐的な名前の視線が痛い。彼女のその視線だけで二股にかけられた縄の間に覗く自身は痛々しく腫れていた。

承太郎は自分で操るスタープラチナに縛られ、名前を縛らされていく我が身から目が離せないでいた。

肉質を強調するためにきつめに縄が体に食い込む。最後に腕を背中で合掌する様に拘束してスタープラチナは姿を消した。しかし名前は何もしない。言葉もかけずにただ承太郎を見つめていた。じっとりと汗がにじむ。血行が悪くなったせいか頭がぼうっとする。体温が上がり頬が紅潮するのが手に取るようにわかった。何もされていないのに承太郎は興奮していた

−−−何もしてもらっていない、のに。ちんこがいてぇ…よりによって自分で縛らせるなんて、あの出来の悪い愛犬を見る様な目が悪いんだ。くそッあの目が、あの目さえなきゃあ、おれは、おれ、は…「承太郎?」

「さっきから呼んでたんだけど…無視するなんてそんなにヨかったの?ずいぶんとお楽しみのようだけど」

「…ッぁ、ぅは、やめろ…、ひっぱらな、」


ぐるぐると逡巡する承太郎の意識を呼び戻すように名前はぐいぐいと縄を引っ張り食い込ませる。その度に元から大きな胸がさらに強調されると同時に全身に食い込んだ縄が承太郎に現場を伝え被虐心を刺激する。


「嘘、食い込む度にやらしい顔になってるわよ?それよりわたしに何か言いたい事は無いのかしら」

「……の、 ぃ姿を ていただき、ぁりがとうございま…」

「きーこーえーなーい!もっと大きな声で言ってちょうだい」

「ーーーッ承太郎の、いやらしい姿を、見ていただき、ありがとうございますッツ」


やけくそ気味に承太郎は叫んだ。この十数年で何度も口にさせられてきたが未だに羞恥心が邪魔をする。淫らな事をしたらこの様に感謝の言葉を口にするように躾けられた体はパブロフの犬のようにこの後に期待し自身が蜜を垂らす。最早このスラックスは洗濯行きだろう。承太郎の無様ながらも名前の顔をしっかり見て言えた事に名前は満足気に笑みを浮かべる。そのネズミを嬲る猫の様な悪戯な微笑をみて承太郎の腰に電撃が走った。彼女は人を従え服従させる天性の才能を持っていた。飴と鞭のあんばいが神がかっているのだ。


「じょうず。いい子ね承太郎、さすがだわ。ちゃあんとよくできました」

「、ぁ…」


女神の様な慈愛の笑みでそっと承太郎の頬に手を当てる。飼い主の言いつけを守れた歓喜が湧き上がる。そのまま身動きのできない承太郎を抱き寄せると触れるだけのキスをした。とろける様な笑顔で名前は愛犬の髪を撫でる。胸に承太郎の顔を抱えじっとしていた。

−−−きもちい
名前の肌がひんやりとほてった体に当たる。天からふりそそぐバードキスが目尻、額、頬と柔らかな感触を残す。後頭部に感じる名前の手がうれしい。ほめてくれる。ちゃんとすれば何もできなくてもいいこって撫でてくれる。うれしい、うれしい名前がよろこんでる。おれの行動で名前が…


とろけた目の承太郎が無心で名前の薄い胸に頭を擦り付ける。すっかり安心しきった表情で名前を見上げた。赤い縄に阻まれ動けないなりに名前に近寄ろうともがく。縄酔いしたのだろう、全身から力が抜けきってビクともしていない。体重を名前に預けきり脱力した承太郎の顔は18の頃よりもさらに幼く見えた。


「承太郎、わたしに何かしてもらいたい事は?」

「…ぁ、しゃせい、しゃせいしたい。ずっと出してない。約束どおりいい子にしてたから、出させて……」

「ん?さっき自慰で出してたって言ったじゃない。なら出さなくてもいいでしょう。我慢できるいい子だものね。それともわたしに嘘ついたの?」

「ぅ…、ぁちが、違ってずっと前ので名前と会ってからしてな、ぅ、うう出したい……」


ボロボロと涙腺まで弱くなったのか涙を零した。うまく縄酔いできれば強い酩酊感と朧になる意識、脱力感が伴うというが承太郎はそれに加え気の緩みからか涙腺も緩くなるらしい。翡翠の瞳からキラキラと宝石が溢れ落ちる。最早ここに空条承太郎はなく名前の犬の『承太郎』だけが存在していた。

しょうがない子、と名前はこ小首をかしげ承太郎の顔を覗き込んだ。ちょうどベットに座った名前の足の間に膝立ちで縛り上げられた承太郎がいる。涙とすっかり弛緩した口元から垂れるよだれでベトベトの承太郎の顔を手で拭い再度キスをする。


「それで?どうして欲しいの?詳しく教えてね」

「ぁ、ごしごしして、承太郎のちんこ擦って…」

「それで承太郎はイけるの?」

「、ぅぁあ…血、吸って……おれの血を飲んで欲しい…してくれ…」


吐息交じりに名前にしか聞こえないほどの音量で承太郎は言った。吸血という普通では考えられない事が射精のスイッチになった承太郎はもはや名前に縋る他ない。最初に名前が怒って見せたのも予定調和の茶番だった。ただ承太郎が乱れる理由を与えこの行為を承太郎の中で正当化するためだけの三門芝居。名前は本当に承太郎に甘いのだ。承太郎のためなら世界すら滅ぼせるほどに。


「そう。じゃあ解いたげるから自分で脱いでね。」


砂糖のように甘い声で名前は承太郎を甘やかす。白魚の様な指先が麻縄に触れた瞬間はらり、と一枚の紙切れになり虚空に溶ける様に消えていった。

 前へ 次へ

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -