10割影の鬱憤晴らし
とんだ悪魔だ!
私はそういったが、ダークとリンクは笑うだけで諦めてはくれない。おまけにゼルダでさえもが手を振る始末である
事は30分前に遡る
「はぁ・・・・・トランプ、ですか」
「実は先ほど城下町で手に入れたのです。これは大人数でやるほうが楽しいと聞きました。なのでダークとリンクにも集まってもらって、四人で一緒に遊びませんか?」
笑顔でトランプを大切そうに握り締めている姫を見て、まぁ断る理由もないしいいか、と二つ返事で了承した。姫が脱走というのもまた珍しい光景ではあったが、トランプだなんてお城にいたって一緒にしてくれる人間などいないのであろう。となれば私たちの元へと来るのは納得がいく
それで、四人ちゃんと集まって大富豪を開始
まず一番に上がったのはダークだった。予想通りといったところか、あまり動かない表情を変えることなく寝ようとしはじめたダークをたたき起こし、続ける
二番目はゼルダだった。これは意外だった。
三番目はリンクで、そう。最下位がこの私、なまえになったのである
別にルールは何もなかったから負けたときはなんとも思わなかったのだが、リンクとダークがなんだかこれだけでは面白くないからと罰ゲームを思案しはじめた
「これどう?」
「あーそれいいな」
「ダークはどんなのがいい?」
「俺はなまえにあれをさせたい」
そして決まった罰ゲーム。
私はもう絶叫した。そりゃあもう喉が潰れんばかりに叫んだ。「はああぁぁあ!!?」と全身で嫌だという気持ちを表現したというのに二人には通じず、ゼルダも罰ゲームだからということでにこやかに笑う
あんまりだと思った。だって、だって罰ゲームの内容が!
「ルト姫殴って来いだなんてどんな恨みがあるんだよ!」
「あいつ俺が神殿いるとしょっちゅう来るんだ。迷惑だから言い聞かせるついでに殴って来い」
「な、なんでしょっちゅう来るの・・・・・」
「あ?リンクに似てるだの水の神殿から出て行けだの我のフィアンセの振りをするなだの無茶苦茶いいやがる」
「ダークだって好きで僕の影になってるわけじゃないから、まぁ殴るくらいならいいかなって」
「よかねぇよ。主に私の身の安否が危ういよ。ゾーラ族の姫を殴るって!即キングゾーラの下敷きにされて潰されるわ!死ぬわそんなことされたら!」
「そ、そんな処刑の仕方、あるんですね・・・」
「ねぇよ!」
例えだよ た と え !ゼルダ姫はどうしてそんなところだけ抜けてるの!
わいわいぎゃいぎゃい騒ぎながらもいつの間にかゾーラの里へときていた私たちは、長い階段を上ってキングゾーラとルト姫がいる場所へと向かう。あぁ下敷きの刑は強ちありえないわけではなさそう・・・・!
「絶対やらない!やるもんか!断じてなあ!」
「でもこれ罰ゲームだし・・・負けたんだからとっとと諦めなよ」
「さっさと終わらせればいい話だろうが。殺されそうになったら骨ぐらいは拾ってやるよ」
「骨になっちゃってるから私!」
「大丈夫です!もしキングゾーラが暴れてしまっても、兵士たちになんとかしてもらいますから!」
「うわあい頼もしい!」
それでも逃げようとしたら二人にマスターソードとマスターソード(影)を向けられたので、あえなく私はルト姫をぶん殴ることに成功した
なんだこれ。ルト姫ただの被害者じゃないか。ついでに私もただの被害者じゃないか