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幸せははじまる




「あ!リンク!」


久しぶりにスカイロフトに帰ってきたら、待っていたのは衝撃的な光景だった。

おかしいな。俺の日付感覚が正しければ、ここにいなかったのは大体一年(約十ヶ月ちょいくらい)。・・・そういえば一年も経つんだ・・・もう大分ここには戻ってなかったんだな

って違う!


「なまえ!?その、こ、子供は・・・?」

「可愛いでしょ!右がマリンで左がウォールよ」

「あら、可愛いわね!」

「だよねー!もうすぐ喋りだす頃なの!」


覚束ない足取りでよちよちと歩いている女の子と男の子に、俺は唖然とした。

おかしいな。待てよ?確か子供を産むには10ヶ月かかるんだったよな。てことは、俺が一年いない間に子供が産まれても、おかしくはない、ということだ。

いやいやいや待て待て、なまえがそんな、浮気だなんてするはずないだろ。大体子供は二人いるんだぞ?一年じゃ無理な話だ。あっ、でも双子って可能性も十分にありえそうだな。顔似すぎてるし・・・

若干、ウォールと呼ばれた男の子は、なまえに似てなくもないし・・・

でも妊娠するまでの時間と妊娠期間と産まれてからの子供の成長を考えると、なまえの子供ではないこともあるよなぁ


「さっきから黙って、どうしたの?リンク」

「いや・・・」

「私はお父様にお話をしてくるわ。後でまた話しましょう?」

「うん!じゃーねー!」


小さく手を振りながらゼルダと別れたなまえは、改めてこちらを見た

お腹に子供がいるのだろう、大分膨れている。もうすぐ産まれるんじゃなかろうか。それくらい大きい


「その子達は?」

「だからマリンとウォールだって」

「違うよ。どこの子?」

「え?」


どうしよう。これで誰か知らない男の名前と私の子なのとか言われたら・・・・・・・間違いなくトチ狂って俺のスカイウォードソードがなまえのお腹を貫くことになるだろう。

一度子供を作ろうとしていた覚えが頭にはあるのだが、それがもしうまくいってなかったとすれば、俺の子供なんていない。俺は返ってくる返答に身構えながら二人の子供を睨みつけた。(今気づいたが女の子の眼力がヤバイ)

・・・・が、ポカンと口をあけていたなまえが言った真実に、俺は肩の力を抜くこととなる


「この子達はお姉ちゃんの子供だよ。ほら、似てるでしょ?」

「そういえばお姉ちゃんいたんだ・・・」

「そうだよ。姪っ子と甥っ子。もう、帰ってきて早々何言ってるの?リンク」

「いや、なまえが浮気したんじゃないかって・・・不安になって・・・・・」


そう言うと、なまえはびっくりしたように目を見開いた後、くすくすとおかしそうに笑った。勘違いした自分が恥ずかしい。穴があったら埋まりたい


「私が妊娠して産んだとしても、リンクが旅立ってから帰って来るまでの間に、子供がこんなに成長してることなんてないわよ。あってもまだ歩けてないわ」

「やっぱり?」

「何言ってるのかしら本当・・・浮気してもいいって言われたってしないわよ」

「絶対言わないから安心して!」


あぁでもよかった。浮気されてもおかしくないくらいなまえを放置してしまっていた自覚があったから、安心感はすごい。

あれ?でもそれなら、その膨れてるお腹にいるのは?


「お腹の子は・・・?」

「?あっ、いざリンクと会うと教えるの忘れちゃってた!ごめんね?・・・この子は、貴方との子よ」


もうすぐ産まれる予定なの。リンクに似てくれると嬉しいなぁ

そう呟きながらお腹を撫でているなまえは、頬をほんのりと染めながら幸せそうに笑っている。それにつられて嬉しくなった俺も、だらしなく頬を緩ませるのだ

今は出来ないけど、子供が産まれたらなまえに抱きついてやろうと思った