05
・・・・・・・・・気まずい
「・・・・・ファイ?」
「なんでしょうか」
「いや、なんでもない、んだけど・・・・」
見られてる。めっちゃ見られてるぞおい
何があったんだ、むしろ俺に何かついてんのか?と思うくらい、先ほどからファイに見つめられていた。視線が突き刺さって正直居づらい。あれ、ここは俺の部屋じゃなかったか?俺の寝床だよな?安心できるマイホームといってもいい場所だよな?
それがどうしてこんなことになってるんだ
意味はわからないが視線は気になってしょうがない。当たり前に動くことのないファイの表情を伺っても、何もわからなかった
「なんか俺についてる?虫?」
「ダニはいますが問題はありません」
「ちょっと今嫌な言葉が聞こえた。ダニ!?」
「人と共存しているダニです。害がある確立0、4%」
な、なんだ。共存してるのか。なら別にいいんだけど・・・・
そう思いファイを見つめ返しながら、ふと、バドの言葉を思い出して視線をずらす。好きなのはおかしいんだよなぁ
確かに人からは大幅にかけ離れてるし、鉄だもんなぁ
「でも好きなんだもんな。これが不思議ってやつか」
「・・・・・・・・・・・」
「女神もまどろっこしいもん作ったもんだ」
人のように喋るし人の形には似ている。言葉も通じる。まったく、ただの剣であれば俺だってこうはならなかっただろう
でも不思議と後悔はしていないんだ。ファイを好きなら好きでいいと俺は俺なりに、そう思う
「ファイは相変わらず、可愛いな」
「ファイにはわかりません」
「わからなくていい」
「・・・・・・・ファイには、感情といったものがないので」
別にいいんだよ、それで。仕方がないのだから。感情がないからこそファイともいえるのだから
小さく困ったように笑えば、ファイは俯いてぽつりと何か、呟いた。悩んでいるようにも見える。珍しい。普段は即返事や回答が返ってくるというのに
あぁでも、俺の言葉で悩むファイが見れただけでも、なんていうか、嬉しいし、幸せだなぁ
(いつかこういうことも、なくなるのだから)
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