04
持て余すことは辛い。どうせならこの気持ちを全部、好きなやつにぶつけることが出来たらと思うのだ。けれどもそれをしようとしてもそれが消えてくれることはなく、心はもやもやするばかりだった
おまけに、今日は酷く気分が落ち込んでしまっている
「お前、あんなやつ好きになるなんて、異常だろ」
「なんで知ってるんだ?」
「あんだけあいつの剣にへらへらしてたらわかんだろーがよ」
「ふーん・・・」
「俺がとやかく言うのはおかしいかもしれねぇが、あれはやめておいたほうがいいと思うぜ」
こういったやりとりを先ほどした。あいつは、バドは良い奴なのだ。本当はとてもやさしくて良い男なのだ。けれどもこのときばかりはバドが嫌に思えた。だって、異常だって言われたのだ。ファイを好きになることはおかしいと。
そんなこと俺だってわかってるのに、それで悩んでるのに改めて言われてしまうと、グサッと来るところがある。別に人が愛せないとか普段から無機物にときめくとか、機械が大好きとか、そういうことは全然ないのに。だからこそファイを好きな理由がいまいちわからなかった
でも好きなんだ。苦しいくらいに大好きで、それを簡単に否定なんかしてほしくはなかったんだ
お前に俺の気持ちなんてわかりもしないくせに、そうやって軽々しく否定するのはやめろと叫んでやりたかったが、バドは俺のためを思って言ってくれているのだから、それがわかっていたから言いたくてもいえなかった
もういっそのことジャクリーヌでもいいよ。人間好きにならねぇかな俺
絶対無理だけど。第一人間を好きになれたとしてもジャクリーヌは好みとは大幅にかけ離れている
親が親だしな・・・・苦手だ
椅子に座って頭を抱えていると、突然、扉がノックされた。扉の向こうからリンクの声がする
「ねぇエイル!ちょっと僕の荷物預かっててくれない?お風呂入ってくるから」
部屋のドアを開けてリンクを迎え入れると、何故か荷物を預かってくれと頼まれた。
そういえばリンク会うのは三日ぶりか。・・・・久しぶりではないな
そう思いながらも「なんでだ?」と尋ね返す。荷物なら自分の部屋に置いておけばいいだろう。別に誰かが荷物を盗むわけでもなんでもないだろうし
しかしリンクはどうしても大切なものが荷物にあるのか、不安だからここに置いてくれと食い下がる。別に、それは迷惑なことではないし、友人の頼みであるから、そこまで言うのなら・・・・と承知した
「ありがとう!じゃあゆっくり入ってくるね!」
「急いで入ってくるんじゃねぇのかよ」
いやのんびりしてきていいけどさ。普通は急いで入ってくるって言うところだろ今のは。
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