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- ナノ -
06


最近ファイが、俯く動作をしはじめた。

正直言葉は通じるが、こういった動作や仕草を見つめて観察するのは、なんだか犬や猫を見ているのと同じ気分になる。尻尾を振ると喜んでいるとか、首をかしげているともっと見たり聞いたりしているとか、構ってほしいときに足をふみふみするとか、そういった類のものだ

だが俯くということは、少なくとも良いものではないのだろう

リンクは少々心配になったが、しかし、何がファイをこんな風にしているのだろうと好奇心さえ湧き出てくる。試しにファイに「何か悩んでる?」と訊いてみれば、ファイは案外素直に言葉を吐き出した


「感情とは、なんなのかを考えていました」

「うん、難しすぎて僕にはわからない話だね」


断言できるね。そんなこと考えたこともないし、哲学的なことはよくわからない


「でもなんで急に?」

「エイル様の言葉に違和感を感じました。それを消去すべく意味を理解し、出来るだけ他の分析が出来るように整理しています」

「消去しなくてもいいと思うけどなー」

「どうしてですか」

「だってそれって、愛されてるって証拠だよ?エイルはファイが好きすぎてどうしていいかわからないくらい悩んでるみたいなんだ。まぁ、僕はエイルじゃないからわからないけどさ」


ファイに感情がないからって、愛が必要ないとは思わない。なんでも愛されたり大切にされたりすることはあるのだから、それは当然だった

例えばゼルダのお気に入りのリボンだとか、アウール先生の植物だとか、そういったものは人間ではないけれど、大切にされているし愛されている。だからファイだってそういうことがあってもいいとおもうのだ


「ねぇ、ファイ。こんなこと言いたくないけど・・・・・いつかファイと、僕と、ゼルダと、エイルと、みんな別れる日が来るんだ。一番日が近いのはファイかもしれない。確かにファイにはわからないことだらけなのかもしれないけど、そういった日まで、大切にされるっていうのも悪くはないと思うよ」


手放すってつらい。別れるのもつらい。それがわかっててもエイルは君のことを忘れないだろうし、ずっと、愛し続けるんだよ。きっとそう。気持ちを理解してもらえないのって結構応えるんだ。

それでも好きで居続けてるんだから、エイルは本当はすごいんだよ


「全部最初から伝われば、楽なのにね」

「・・・・・・・・・・・・」


でもそれは絶対に、どんな生き物にもないと思ったんだ



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