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「ななし・・・・!」


聞き覚えのある声が耳に入ってきたもんだから、くるりと後ろを振り返ったら。まさかのこぶしがこちらめがけて飛んできていた。

一切の加減もされていないパンチが俺の顔面にめり込み、ただいま俺は本拠地にて手当中である。本当によくもやってくれたな・・・・と思いながら隣に座り込んでいる女性をちらりと見れば、丁度視線がかちあってしまった。


「・・・・・まだ痛むか?」

「めちゃくちゃ痛い」

「ごめん。久しぶりに会ったもんだからうれしくて、」

「デレかたが強いんだよ!!もっとソフトに可愛くデレてくれよ!」


普段はツンデレであったミドナはなんと、俺に会えた喜びからこぶしを繰り出してしまったというではないか。それならば久しぶりに会うたびに殴られることになるのだが、そこらへんはどうなんだろうか。というか加減くらいしてくれてもよかったものを・・・なんというか、ミドナらしいよなあ

自分が暴力を受けたにも関わらず、さほど怒りがわいてこないのは惚れた弱みだろうか。まあ、ミドナは最初からそういう人であったし、今更怒る気もないというか必要ないというか。とくに今いる世界では力がものを言う状況であるからして、加減が難しいというのもあるのかもしれないし。

いやしかし対人だぞ。俺一般人なんだからやめてほしいわ


「・・・・影の世界では、うまいことやってるのか?」


まあせっかく会えたんだし、怪我の話はどうでもいいとして。

影の世界へと戻ってしまって、もう二度と会えないと思っていた女性と顔をあわせているのだから、話くらいは聞いてもいいだろう。罰なんか当たらないって。むしろ当たったとしたらさっきのこぶしだろう。

しんみりするのもなんだかなあとは思うから、一応軽い調子で尋ねてみた。が、思ったよりも重たい返事が返ってきた。


「いや・・・・私はもう駄目だ・・・・」

「な、なんで?仕事がつらいとか?」

「そういう話じゃない!」


なんでちょっとキレ気味なのミドナ・・・・

女の子ってよくワカラナイ。しかもなんか俺の腕めっちゃ掴んでくる痛い。女の子ってワカラナイ。


「いたたた」

「お前はむしろ光の世界でうまいことやってるのか!?」

「やってるよ!リンクも元気だよめっちゃ!」

「なんでワタシだけがお前のことを気にとめてるんだ!わけわからない・・・・!」

「それ俺のセリフッ!」

「ちょっとは気にかけろよワタシがバカみたいだろう!」

「気に掛けたら余計寂しくなるだろーが!」

「なればいいじゃないかワタシみたいに!仕事もままならん状態に!」

「えっ、そこまで寂しかったの?」

「今になってお前を影の世界に連れ込めばよかったと、後悔してるくらいだ」

「えっ、ちょっとなんでミドナさん泣いてるの。俺が悪かったから!」

「悪いと思ってるならどうにかして影の世界に来いよ!」

「それは無理だろさすがに・・・・」