両手をぎゅっと、指と指を絡めるようにして握りこまれてしまった。
試しに両手を離そうとしてみたのだけれど、彼は一向に力を緩める気配はない。どうしたの、と彼の顔を覗き込んでみれば、彼は泣きそうな顔をしていた。
なんて顔をしているのだろう。いつもキリリッとしている眉は、今は情けなく下がってしまっているし、目元も鋭さなどまるで感じられなかった。口はきゅっと結ばれていて、何も話そうとはしない。
本当に、どうしたの
そう問いかけるも、彼から言葉は発せられなかった。代わりに両手をつかむ力が僅かに強くなる。痛くはないけれど、なんだか彼が言わんとしていることがわかった気がして、少しだけ彼の手を握り返してみた。透き通るような彼の瞳が、僅かに揺れる。
「どこにも行かないよ」
「・・・・・・・・・・」
「わたし、どこにでも着いていく、から」
漠然と不安になっているのだろうリンクにそう呟いて、目と目をしっかりと合わせた。そうしたら彼が一度瞬きをして、そこから綺麗なしずくが姿を見せる。綺麗な空と全く同じ青の瞳が、金のまつ毛のしたでゆらゆら。まるでおぼれているようだ。それくらい、涙を溜めたそこは決壊していた。
もう一度、大丈夫だからね、どこにも、置いてなんか行かないよ。そう伝えて、彼の手をゆっくりと解いた。それから少し私よりも上にある頭を、胸に抱え込む。ぎゅうぎゅうと抱きしめたら、彼は苦しそうだったけれども知らんぷり。
「んふふ、リンクのこと、離してやる気なんか一生ないんだぁ」
本当だよ。本当に、ほんとうなんだから!
愛しい彼の頭部に、ぺったりと頬をひっつけてはにやにや。何を不安に思う必要があるのかな。わたし、これでもめいいっぱい貴方のこと大好きで、愛してるのに。
頬ずりをしてから彼を腕の中から解放すると、今度は正面からちゃんと、抱きしめる。彼の背中はたくましくて、大好きだ。とても安心感があるのだ。もちろんそれを味わえるのは、私だけ。
ゆるんだ顔なんてそのままで、彼を何度もなんども、抱きしめた。リンクの腕が私の背中に回って、同じくらいの力で、ぎゅうっとしてくれる。いつもはこんなことしないから、余計にわたしはでれでれしちゃって。幸せで、しょうがない。
「ずっと、」
「うん?」
「ずっと、一緒に居てね」
「うん」
「・・・・何があっても、はなれないで」
「ふふ、うん」
慰めるように、小さく彼の背中をリズムよく叩く。グスグスと鼻水を啜りながら、なんとか泣きやもうとしている彼が、どうしようもなく愛おしい。
「私しあわせで、もう、どうしたらいいのか、分からないよ」
彼の息が詰まって、先ほどよりも余計に頬をぬらすものだから、ちょっと焦りはしたけれど。小さく不器用に笑って「愛してる」って言ってくれた彼は、やはり不安なんか感じなくても、いいと思うのだ。
だってわたしは、こんなにも、貴方を愛してるのよ。