「なぁ、俺と結婚しよう」
なんとはなしにつぶやかれた言葉であった。
だから最初こそ聞き流そうとしていた私の頭であったが、何かがおかしいと気付いてからはすぐさまリンクへと意識が向いた。待て今なんて言った?結婚?
「・・・聞き間違い?」
「?何が?」
「今結婚て聞こえちゃったわ」
「俺が言ったんだから当たり前だろ」
言ったのかよ!
内心突っ込みをいれながらも私は冷静だ。まあ真に受けていないというのが一番大きな理由ではあるが、それにしたってまた唐突な言葉だったな。さすがにびっくりした。
冗談だということ前提で私の中では進み、ちなみになんで私なんかと結婚?ときいてみた。結局は見目の問題ではないにしろ、結婚したいと率先して異性が言ってくれるような人間かと問われれば、間違いなく首を横に振るだろう。むしろ縦に振る人なんているのかな?
ちょっとわくわくしながらもリンクの返答を待っていれば、彼は少し悩む素振りを見せたものの、真顔ですらすらと答える
「なんとなく近くにいて落ち着くのが一番だな」
「へぇ」
「家事が下手なわけじゃないし、単純に根が優しい」
「まぁ・・・・・そこは自分では頷き難いけど・・・・」
「あとはそこそこ強いからっていうのもある」
「まあ誰かさんとちょっぴり旅はしてたからね。無理やりだったけど!」
「楽しかっただろ?」
「わたし超死にかけたんですけど!?現場にいて知らないとは言わせないぞ!」
「俺が助けてやっただろ」
「う、うん。いや、そういう問題じゃなく、」
「で?結婚するのか?」
「え?冗談じゃなかったの」
「そんなわけない。俺のプロポーズをお前・・・・」
「いや、・・・・・・いやいやだって!あんまりにもポロッて言うもんだから!!」
ちょっと薄々あれ?とは思ってたけどまさか、本気だったとは。にしても顔赤らめるとか、もっと空気をプロポーズします!!みたいな感じにしてくれれば私も本気にしてたかもしれないのにね
「しないよ私。リンクとは」
「なんで」
「だってリンクめっちゃイケメンなんだから、もっと美人捕まえたほうがいいよ」
「ななしだって化け物みたいな顔してるわけじゃないんだし、別に俺と一緒になるくらいいいだろ」
「もう比べる基準が化け物だってことには突っ込まないわ」
「俺はすごいななしのこと好きだし、単純に子供もいずれはほしいと思ってるぐらいだからな」
「指太くてちょいデブスな私と?」
「子供の顔は俺の遺伝子でイケメンになる!指は言うほど気にならないぞ」
「なんだと」
「他には?」
「他?どういう・・・・あー・・・・あぁ、ほら、イリアとかすごくリンクとお似合いじゃん。私的には顔はアゲハちゃんが好き」
「虫持っていかなきゃな。あとお似合いとかそういうんじゃなくて、俺とななしの気持ちの問題!」
「じゃあ断る」
「じゃあななしの左手にある薬指だけもらう」
「もらう!?誰がやるか大切な指を!怖ッ!」
「だってななしの指に俺以外の男からの指輪はめてるの見たら、気が狂うと思うしさ。歯止め効けばいいけどそうもいかないだろ?」
「実は私めちゃくちゃ好かれてるんだな」
実感したところで返事に困ったのだけれど、そこでふと気がついた。アレ?私たち恋人ですらなかった・・・・・よね?