【R18】最上級の想いを、あなたへ

「まだかな…あと少しかな…」

壁にかけてある時計を見ながら、そわそわと座ったり立ったりを繰り返す。
今日は早めに帰ってくるって言ってた。
…この時間じゃ、まだ帰ってこないか…

それを分かってはいても、逸る気持ちを抑えることができない。

なぜかって?だって今日は、愛しい愛しい人の、誕生日なんだから。







そもそもにして、俺は誕生日というものを特別視したことなんてなかった。
自分の誕生日もなんとなくしか覚えていない。「ああ、また年をひとつ重ねたんだ」くらいの印象しかなかった。子どもの頃の記憶はないし、組織に拾われてから祝われたこともないし…
とにかく、俺にとって誕生日は、大して重要じゃなかった。

…なかったん、だけど、

俺は今誕生日を、ましてや自分以外の人の誕生日を、こんなにもドキドキして迎えている。

どうしたら喜んでもらえるだろうか?
何をあげたらいいだろうか?
どんな言葉を贈ればいいだろうか?

そんなことばかりを考えている。
昔の俺にしてみれば、信じられないような状態だ。


プレゼントをそっと手に持つ。


「喜んでくれる、かな…」

ああ、だめだ、顔がにやけてしまう。










そんな風に幸せな気持ちに浸りながら、待っていると…
がちゃ、と扉が開いた。

「ただいま」
「おかえりなさいっ」

たたっと走り寄り、にっこりと微笑みかける。
すると、笑顔で頭を撫でてくれた。

「これ、年越し蕎麦と酒のつまみな」

トールは、ん、と袋に入ったそれを見せてくれた。

「ありがと。じゃあごはんの用意しよっか。お風呂は先?あと?」
「そうだな…めし食った後に入るか」
「わかった」

にこにことそれを受け取って、支度をしにキッチンへと向かう。
本当はケーキを用意しようかと思ったんだけど、トールは甘いものが苦手だからなし。
プレゼントだけ。



そして、二人で準備して、蕎麦を食べて…

片づけも終わったところで、トールを部屋のベッドの前に座らせる。

「えへへ、ちょっと待っててね?」
「?ああ」

部屋に隠しておいたプレゼントを取り出し、そっとトールの隣に座り、向かい合う。

「朝も伝えはしたけど、改めて…お誕生日おめでとう、トール!」
「おう、ありがとよ。…なんか、くすぐってぇな…こんな風に祝われんの、ガキの頃以来だ」
「ふふ…はい、プレゼント!」
「ん?ああ、プレゼントまで…その、…ありがとよ」

トールは照れくさそうに頭をかき、受け取ってくれた。
かわいい…

「あのね、トールがクリスマスのとき、『ラフルがプレゼントみたいなものだ』って言ってくれたの、すごい嬉しかったんだ…」
「…そうか。だってよ…本当だからな。お前に会うことができて、一緒に居てくれてよ…33年分、プレゼントもらえた気分だ」
「…もう…ほんと嬉しい………それでね、俺、形にもしたくて。何かプレゼントして、気持ちをもっともーっと伝えたり、二人の思い出のものが増えたら、いいなって思って」

たくさんの思い出を作って、たくさんの幸せを共有したい。

「…そうか。なぁ、これ…開けても、いいか?」
「ん、もちろん」

丁寧に丁寧に、包みを開いて、箱を開けてくれる。

「…?これは…」
「ふふ、つけてあげるね」

トールが不思議そうに見ている「それ」を受け取り、首にまきつける。

「苦しくなぁい?」
「だい、じょうぶ…だけど、よ…これって…」
「あのね」

そっとカーペットの上に押し倒す。

「トールはよく、俺に飼われたいって言うでしょ?」
「…ああ。お前に飼われて、繋がれていてぇ…」
「でもずっと首輪をつけてあげることはできないし、首輪つけてる状態で接客も難しいだろうし…」

つつ、と首元につけた「それ」をなぞる。

「だから、首輪の代わり。これならずっとつけてても不自然じゃないよね…?」

ごく、と喉が動いたのがわかった。
トールにまきつけてあげたのは、黒いチョーカー。
それが誕生日プレゼント。
ずっとずっと、トールが俺のものっていう、所有の証。

「トールの身体に所有印がつけられないっていうなら、こういう視覚で見えるもので主張したいんだよね…」

ちゅ、と首筋に口づける。

「…ぁ、ラフル…」
「だから、クリスマスにもらったピアス、嬉しかったよ」
「お前が、うれしいなら…よかった。俺も、うれしい…」

うっとりと見つめられ、満足げに微笑み返す。

「可愛い…」



「たくさん鳴いていいんだよ?俺の可愛い可愛い、トール…」















「…っあ…!」
「ん、またイっちゃった?ふふ、かーわいい…」

ぐちゅぐちゅと淫猥な音が部屋に響く。
トールは吐き出さずにイってしまったようだ。
額を枕に押し付け、快感に耐えてる様は淫らで、さらに欲を煽る。
腰を高く上げさせ、後ろから犯す体勢は、なかなかに支配欲を満たしてくれる。

「何回目か覚えてる?」
「ん、ぁ…おぼえて、な…っ」

ふるり、と身を震わせながら、トールは生理的な涙を流す。
…もったいない。

「…ん」
「ひゃ、お、おい、くすぐった…っ」
「だってもったいない…」

身体を密着させ、涙を舐めとる。

トールが零すものは何だって愛しい。
ただただ流すだけなんてもったいない。
俺、たまにトールのことを食らってやりたくなる衝動に駆られるんだ。
どろどろに溶けあってひとつになるような…そんな感覚を味わいたくなる。

でもそうするとトールとは会えなくなっちゃうから、しないけど。

「…もうすぐ年、越しちゃうね…?どこまでイけるか試してみようか?」

随分長いこと繋がっている気がする。
どれくらい出来るのか試してみたい。
俺よりトールのほうが体力あるから、いつも俺が先に音を上げちゃうんだけど…
最近体力つけるために色々やってるし、頑張れるかもしれない。

何より、誕生日だから、トールのことたくさん気持ちよくしてあげたいんだ。

「ねぇ、まだ俺が欲しい?」
「…っらふる…ああ、おれ、おまえが…ほし…ぜんぶ、くれよ…ぅっ」
「ん…あげる。俺のこと、全部全部あげるから…トールのことも、頂戴…」
「ひ、っあああ…っ!」

深いところを穿つ。
出し入れをするだけでもゾクゾクとした快感が駆け上がる。
奥へ奥へと誘い込む中も、愛しくてたまらない。

「もう…はいらな…っ」
「大丈夫…まだ、入るよ…っ」
「…っあ、あ…っああ!」

腰を揺らす姿にそそられる。
動きを速めると、中のうねりも増してくる。

「あ、…らふる。らふ…っ、は…っ、が、いい…っ」
「ん…?」
「おまえの、かおが…みた…いっ」
「…!」

ぴた、と止まり、自身を引き抜く。

「んぁ…っ」
「俺のこと、見ながらシたいの?」
「…あ、…ん…らふる…」

そっと頬を撫でると、へにゃ、と蕩けた笑みを見せながら、擦り寄ってくる。
可愛すぎてどうにかなりそう。

「俺も、トールと向かい合ってするの、好きだよ」
「すき……おれも、すきだ…らふる…おれの、らふる…」

そっと唇を重ね、咥内を貪る。
歯列を丁寧に舐め、弱いところに舌を這わせ、舌を絡め、息が上がるほどお互いを求めあった。

後孔に、つぷ、と猛った自分を押し付け、入り込ませる。
入口付近で浅く出し入れを繰り返すと、気持ちよさそうにくぐもった声が聞こえてくる。

奥までねじ込み、音が響くほど打ち付ける。

「…ん、…は、ぁ…トール…!俺だけの、ものだ…っ」
「…っあ、んぐ…っはげし…っ!」

幾度も幾度も行為を繰り返し、それでも足りない。
足りなくて、もっと欲しくなって、どんどんのめりこんでいく。

深みにはまって、抜け出せなくなる。

もっと、もっと、もっと…溺れるくらい、お互いでお互いを満たしたい。

「らふる…っ、もう…いく…っ」
「…っ、俺も、もう…!」

そして二人で上り詰め、俺も勢いよくその欲望を中に叩きつけた。
浮遊感と幸せな気持ちで満たされていく。


幸せで…とても、甘美で、病み付きになってしまう。











それからどれくらいしたのか、よく覚えていない。
ただ、結構な回数をこなしたのは分かる。
俺もトールも意識を飛ばしてしまったくらいだし。

隣ですやすやと眠るトールの頬に触れる。



誰よりも何よりも大切な人。



「生まれてきてくれて、ありがと…」



そして出会えたことに、感謝を。











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