版権2 | ナノ
※カラ松が腐男子で一松が腐男子でチョロ松が腐男子です
腐男子は別にゲイではない。たしかに受けに萌えすぎたあまり『○○犯したい』と思うことはあれど、それは攻めが犯してなんぼの世界である。
とはいえ俺はいま弟の一松と付き合っていた。ついでにいうと最近腐男子だったことが判明した弟のチョロ松は、長男のおそ松と付き合っていた。
腐男子ってゲイのことだっけ。思わずチョロ松に確認したくなるほどだった。
さて、一松と付き合い始めて1週間。いまだに兄弟の前では理不尽な仕打ちを受けることが多いものの、2人きりになればそれなりに甘い雰囲気が発生するようになってきた。
昨日なんて布団の中で手を繋いできた。弟が可愛すぎて死にそうだ、と悩んでいる。そしてその悩みをそのままチョロ松に吐き出している。
俺はもはやのろけでしかない悩みを吐き出し、チョロ松はそれに萌える。利害が完全に一致した平和なやりとりだ。
「カラ松は一松にカミングアウトしないの?」
チョロ松がそんな爆弾を投下するまでは。
「カミングアウト?」
「腐男子バラさないのかってこと」
腐男子をバラす?
一松に?
「むっ無理だ!」
「なんで」
「嫌われる」
「そうかな」
はて、と首をかしげるチョロ松。お前それおそ松兄さんの前でもするのか。可愛すぎるだろ。
「一松がカラ松を嫌うなんてありえないと思うけど」
「そんな馬鹿な」
「いやマジで」
「でも一松に嫌われたら生きていけない」
「クソ可愛いなお前。じゃなくて!いつかバレるより自分から言った方がよくない?」
「た、たしかにそうだな」
なるほどチョロ松の言う通りかもしれない。
だが、俺にはそんな勇気がない。
一松に嫌われるくらいなら一生この秘密を隠し通すべきなのではないか。
「カラ松がそう言うんなら僕も協力するけど……」
本当に大丈夫?
心配そうな弟に、俺はサムズアップして見せた。
▽▽▽
1週間後。
俺は限界を迎えていた。
「チョロ松〜」
「なに、どうしたの」
別に今まで隠していたことだし今更隠せなくて困ることにはならないだろう、と。1週間前の俺はたかをくくっていたのだ。
だが、状況は以前と違うのである。
「ツイッター」
「ああ、一松の前だとツイッターできないからか」
そう、ツイッターなのだ。
腐女子であるトト子ちゃんに俺が腐男子であることがバレた時。どうしても欲しかったBL本を保管してくれる代わりにツイッターで兄弟絡みの萌え話をしろ、なんて言われた。
それまでオンでもオフでも吐き出す場がなく、妄想をため込むのみだった俺にとって、ツイッターはいつしか大事な場所になっていたのだ。
が、ケータイに向かってニヤニヤしていたら間違いなく浮気を疑われる。というか疑われかけたので、できなくなったのだった。
「じゃあ一松がいないところでやればいいと思っていたんだがトイレくらいしかなくて……それも長いと怒られるし」
「独占欲ハンパないな」
やはり俺は一松に信用されてないのだろうか。
ならばなるべく隣にいてやり、俺の愛が真実だとわからせてやるべきだ。そう思い今日まで頑張ってきた。
しかしもう限界だった。
「今日は1日俺に付き合ってくれ、チョロ松!」
「……いいけど一松は?僕殺されるのはやだよ」
一松?
一松か……
「今ごろおそ一してるから大丈夫だ」
「は?」
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