版権２ | ナノ
「いや、驚いたよ。まさかカラ松が腐男子だったなんて」
「俺もチョロ松が腐男子だったなんて気づかなかった」
「まあ隠してたからね」
「まあ俺も隠してたな」
ずっと誰かと語り合いたいと思い続けていたが身近に居るものである。トト子ちゃんといい、チョロ松といい。どうしてはやく教えてくれなかったんだと言いたくなるが、まあ、カラ松とて隠しているのだから仕方がないか。
「僕としては一カラが本命なんだよね。次がトド十」
「お前もトド十いけるクチか！」
「カラ松も！？ く、もっと早く知っていれば……」
「今からでも遅くはないさ。あとはおそチョロも好きだ」
「あーおそチョロかあ。現実はたしかにおそチョロなんだけど僕の趣味としてはチョロおそなんだよね」
あれ、今なんかおかしな言葉が聞こえたような。
「ああ、僕とおそ松兄さん付き合ってるんだけどね」
「ま じ か ！ ！」
付き合ってるってあの？
え、腐男子ってホモってことだっけ？ 違うよな？
「カラ松は一カラ萌えたりしないの？」
「いや、だって俺、ノーマルだし」
「もったいないよ。いいか、自分だと考えるな。『カラ松』というキャラとして自分にあったことを第三者の観点から見るんだ。僕はそうしてチョロおそに萌えていた。確かに現実はおそチョロだったし、それに不満もない。だが妄想はやっぱりチョロおそがしっくりくるんだよね」
「ごめんお前が言ってること全然わからん」
１つわかったのはチョロ松の闇は深い、ということだ。
「そんなことより、カラ松はどうしたいの？」
問われて、考える。
一松のこと。そりゃあ好きだ。好きだけど、それは弟に向けるものである。嬉しくないわけじゃないけど、それは嫌われてるよりは好かれてる方がずっといいという程度のこと。
キスされそうになって、びっくりして、突き飛ばして。傷ついたような一松の顔を見て、罪悪感に胸が痛んで。
「してみればよかったのに」
「えっ」
「びっくりしただけなんでしょ？ 案外してみたら嫌じゃなかったかもよ」
まて、お前本当にチョロ松なのか？ 兄弟の中で唯一、常識らしきものを持ち合わせていると言われていたあのチョロ松なのか？
「僕も、その、キスして初めてわかったからーー妄想と現実の違い」
頬をほんのり朱に染めて、カラ松から目をそらして明後日の方向を見ながら言うチョロ松。え、なにそれ萌えるんだけどもっとくわしく聞きたいんだけど。
「とにかく、」
こほん。
「一松とちゃんと話して、びっくりして突き飛ばしたこと言って、正直に伝えたら？ 好きとかよくわからないって。それから落とされちゃえば？」
最後の一言は絶対チョロ松の望みだろうとは思ったが、それでもこの弟がカラ松と一松を心配してくれているのは本当だろう。
だからといってチョロ松のために一カラにしてやるつもりは、うん、どうだろう、悪くないような気もするが、やはりよくわからない。
それでも１人で悩んでも答えなんて出ないし、誰かと悩んだってきっとダメだ。相談するなら一松とがいい。それで、一松がカラ松を落とそうとしてきたって、ちゃんと一緒に悩んでくれたって、最後にはカラ松に選ばせてくれるはずだから。
「行ってくるぜ、マイブラザー」
「うん、いってらっしゃい」
帰ってきたら萌え話しようね、なんて。
＊前 次＃
TOPへ