版権2 | ナノ
※にょたライナです
※これのつづき
※ルークさんがまさかのストーカーです
目が覚めるとそこには心配そうにライナを見つめるクラスメイトの姿があった。
「もう、心配したんだからね」
彼女はそういうとそっとライナの頭を撫でた。
いつの間にか放課後になっていたらしい。キファはライナの分のカバンも持って保健室まできてくれたようだ。
どうやらライナがどうしてここにいるのかも理解しているようで、そっと「気づいてあげられなくてごめんね」と言ってくれる。
キファといた時はまだ痛くなかったし、彼女は悪くないのになあとぼんやり思う。
「帰ろうか」
「……ん」
薬のおかげでもう痛みはない。ゆっくりとベッドから起き上がる。立ち上がると、スカートに皺が寄っているとキファに怒られた。そんなことまで気にしている余裕はなかったのだから仕方がない、とは口にしないでおく。
***
本来この曲がり角で、キファと別れる。
ライナは右に。キファは真っ直ぐ進んだところに家があるから。
けれど最近彼女は何食わぬ顔で右に曲がる。
「今日はいないみたいだけど、油断はできないでしょ?」
そう言って辺りを見回す。
どういう意味なのかはよくわからない。が、いつも聞くのが面倒で深く考えないようにしていた。
でもキファも女の子だし、一人で歩く時間が増えてしまうのは良くないと思うのだけど。……こうしてライナを送っていたらその分遠回りで、一人で歩く時間も距離も増えてしまう。
目でそう訴えると「大丈夫だよ」と、笑顔。
家の前に着くとキファがようやく安心したように息を吐く。
「ライナは可愛いんだから気をつけなくちゃ駄目だよ」
その台詞、キファにそのまま返してやりたい。
「じゃあね、また明日」
「ん、キファも気をつけて」
「うん」
キファが帰っていくのをしばらく見送り、小さく振っていた手を下ろす。郵便受けを覗き込み、いくつかの紙類を手に、自宅の鍵を開けた。
まだ誰も帰ってきていないことを確認すると紙類をリビングのテーブルの上に置く。そこから目的のものだけ取り出すと自室に戻った。
『大丈夫でしたか』
白い封筒。やはり白い便箋。中央にたった一言。それだけが書かれていた。
その事実に満足そうに微笑む。
それからいそいそと長方形の缶の中に入れてしまう
。
缶の中にはやはり白い封筒がいくつも入れてある。
怪我をしてしまったり体調が悪いときは『大丈夫ですか』と書かれていた。
『おかえりなさい』だったり『また明日』だったり。一言だけの手紙は毎日郵便受けに入っている。ライナが確実に受け取れる時に。
それがなんだか楽しみになってきていて。
この字の持ち主はどんな人間なのか想像するのがとても楽しくて。
その優しさや字の丁寧さに思い浮かぶ姿は何故だかルークだったけれど。まあ、それはないだろう。だってちゃんと話したのはさっきが初めてだったはずだし。
……ただ、いつか、会えないかなんて。
ぬくもりと、優しさをこめてくれる誰かに
(「大丈夫」と答えたい)
前回のお話でルークさんがストーカーという前提で続きを書いてみました。
ライナに危機感がなさすぎるからか、ルークさんがかっこよすぎるからなのか、今ひとつストーカーっぽくないような気がします。
キファはライナにストーカーがいることに気づいていて、家まで送ってあげていたり、心配したりしています。
「今日は」ついてきてなかったけど時々後をつけたりしているので当然と言えば当然です。
ただそれがルークだということにまでは気づいていない模様。
よくわからない話になってしまった……
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