彼はそれを愛と言った | ナノ 昼休み


結局野村と一緒に教室に戻った。

野村はその後は授業が終わる度に振り返って、どうでもいいことを話しかけてきた。さっきの先生やっぱりヅラかなとか。「えー」って何回言ったんだろうとか。





そして、あっという間に昼休みになった。




それまでしつこいくらいに声をかけてきた野村の声が、今は聞こえてこない。
やはり別の友人と食べるのだろう。そう思うと少し……いや、なんでもない。
とにかく、俺も食べるとしよう。
鞄から弁当を取り出すと机の上に置く。自分で作っているため中身は開けなくてもわかる。なのでわくわく感がないのが残念。

包みを開ける前に、前の席を確認。
と、野村が机に突っ伏して寝ていた。

普段寝てばかりだった授業を全部受けて疲れたのだろう。だが、このままでは昼ご飯を食べられないまま午後の授業に突入してしまう。自分のことのように想像するとそれはかなりキツイ。


「野村、昼休み」


呼び掛けながら揺らすと、野村はううんと唸った。

「はむらー」
「飯、食わないと食いっぱぐれるぞ」
「ん……だいじょぶ」


つまり5分もあれば食べ終わる自信がある、と?

「飯持ってきてないし」

「……は?」

そういえば俺、野村が飯食ってるの見たことないぞ……

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