彼はそれを愛と言った | ナノ どうしてか




彼は最初、友達のいない一人ぼっちの少年を心配してくれた。そして少年に話し掛けてくれた。

それから、友達になってくれた。


そんな言い方をすると彼は「なってあげたとかじゃなくて、なりたくてなったんだよ」と怒るのだけれど、少年はそう思っていた。





ずっと一緒にいられたらいい。
彼だけがいれば他には誰もいらない。

そんな想いはいつしか彼の口からも聞くことになった。それが少年には嬉しくて幸せだった。



けれど2人だけの世界がいつまでも続くはずがない。彼には他にも友達がいて、少年には彼以外誰もいなかった。
それが不安で、辛かった。




   どうしてか








「おはよう」


眩しい太陽の光を浴びながら、彼が立っていた。


喜代史はふわりと微笑む目前の彼が、誰だったか、一瞬だけ考えた。
もちろん本当に忘れていたわけではない。ただ記憶が混乱しているようだった。


「キヨ」


彼――高里は、嬉しそうに喜代史の腕に飛び付いた。








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