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ヨン竹シリーズ [ 182/196 ]

「一緒に飲みませんか?」


一人自室でくつろいでいた竹中に、ヨンファが声をかける。

警戒心の残る顔でヨンファを見れば、彼はやれやれとため息を吐いた。



「おれは、竹中さんを殺そうなんて思っていませんよ」



竹中は首をかしげた。
わたし、と言っていたヨンファが唐突におれと言い始めたことや、自分をさん付けで呼ぶことだとか。
…正直気味が悪い。





「……何を企んで…」

「何も。ただ、あなたと飲みたいと思いまして」




ニコリと笑うのは、本当に心からの笑みなのだと見て取れた。

だからといって警戒を解く気は更々なかったが、竹中は渋い顔でヨンファを部屋に上げた。



「一人で飲むと、気が滅入りませんか?」

「…別に」

「おれはそうです。だから、あなたと飲んでみたくなりました」



ヨンファは手にした酒瓶から酒を竹中のコップに注ぐ。

まるで腹の探り合いだ。そう思いながら慎重に、酒を口に運ぶ。


それでもヨンファは楽しそうに話しかけてきて、次第に竹中の警戒も解けていった。





「一つ、お聞きしたいことがある」

「……?」






何を、と首をかしげかけたとき
ヨンファの顔が驚くほど傍にあった。


そしてヨンファは竹中の首筋に顔を埋め、軽く歯を立てて肌を吸った。



「もう、艦長とこういうことはなさりましたかな?」



竹中は呆然とヨンファを見つめていた。
その様子にヨンファは満足げに笑うと、酒瓶とコップはそのままに、部屋を出て行った。





…何だったんだ?



後に残されたのは酒と、羞恥と、


首筋に残された赤い痕





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