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猫、侮りがたし(宮竹、猫化) [ 125/196 ]
「あれ、その頭の何スか」
菊政に言われて頭を摩ってみる。奇妙な柔らかさに首を傾げた。
ふわふわでふかふかで、滑らかな触り心地。うっすらと毛に覆われたそれはまるで動物の毛のようと思えなくもない。
僅かな重みにぬいぐるみだろうかと鏡を覗き込む。
瞬間――…
「………」
竹中は固まった。
何故なら彼の頭に、猫耳があったからだ。
見間違いかと思い、鏡に息を吹きかけてから拭いてみた。綺麗に磨かれた鏡に映ったのはまぎれもない自分と、猫としか思えない耳。
「それ『萌えー』って言うんスよ」
「………」
勿論竹中には菊政の言葉など聞こえていなかった…
※ ※ ※
「た、竹中!?」
宮津が驚いて目を丸くする。自分は余程気持ちが悪いのかと、竹中は密かに落ち込んだ。
とりあえず隠そうかとどこから取り出したのか風呂敷を被る。
「気が付いたらこうなっていまして…原因も思い当たりませんし…」
「………」
「あの、艦長?」
「か」
「か?」
気のせいか、宮津の顔は興奮したように赤い。
竹中は首を傾げたが、その隙に頭に被った風呂敷を奪われてしまう。
宮津はうっとりした、奇妙な表情で竹中の耳元で囁く。ちなみに人間の耳の方だったが。
「可愛い…」
「………」
ちょっと待て
男の、それもオヤジの猫耳のどこが可愛い?
そんな疑問が脳裏をよぎる。が、そこは『宮津艦長だから』の一言で片付けてしまう。普段から多少ずれた所もあることだし。
きっと宮津は『猫耳』に対して可愛いと言ったのだ。『猫耳を生やした竹中』を可愛いと言っているのではなくて…
「…よく似合っている」
「………」
竹中が必死で考えた理由を、宮津はどんどん壊していく。それどころか疑問を膨らませるばかりだ。
「竹中――」
手に息がかかる。目を覗き込まれ、思わず反らそうとするがその前に言葉がつむがれる。
「…竹中…飼わせてくれないか?」
「……………………はい?」
「『はい』か。じゃあ早速首輪を用意しよう」
「ままま待ってください!?」
明らかに普段とは違う宮津から、竹中は慌てて逃げ出したのだった。
※おまけ※
「あれ、竹中さんまだつけてたんですか?」
必死で宮津から逃げている竹中に、ヨンファが声をかけた。宮津かと思い身構える竹中の頭にヨンファは手を伸ばす。髪の中に手を入れられ…
と、頭が軽くなった。
ヨンファの手には猫耳のついたカチューシャが…
「お前か!!!」
「…鏡見たら普通気付くと思いますけど」
声を上げると宮津に見付かって、再び追い掛けっこが始まる。猫耳はついていないのにどうしてだろうと竹中は首を傾げるのだった。
「…平和だな」
事の原因であるヨンファはポツリとそう呟いた。
‐end‐
はまかぜ様キリリク有難うございました
猫耳竹中…激しく宮→竹風味になりましたが如何でしたでしょうか?
というかこんな出来ですみません;
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