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痛いんだ(ルークラ)* [ 108/196 ]

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・シリアスで久々に長め…というより中くらい

※ルークがニセモノ
※クラウもニセモノ

※軽すぎる破廉恥な描写も含みます。ホントに軽すぎますが






















どうしてだろうね

お前が俺を「好き」と、態度で表すその度に、胸が、痛くなるのは


そんな感情、とっくの昔に捨てたはずなのに




「………ッ!」



背に立てられた爪が、肌に食い込む。その痛みさえ心地良いと思うようになったのはいつからのことだったか。
そもそも彼とこういった関係になったのはいつからだったか。

ルークは無言で彼の首に軽く、歯を立てる。それからその肌を味わうように舌を這わせてゆっくりと吸う。紅。彼の髪と同じ色がそこに現れる。
ルークはその僅かな刺激すらも彼に快感を与えるのだと知っていた。だから、気付かないふりをしてなお痕を残す。
一つ。二つ。痕が増える度に背の痛みが増していくのは、彼がそれほど深い快楽に堕ちていることを示す。


自然と、口許が緩む。

彼を、こんな風に抱いているのは他でもない自分。そう思うだけで可笑しくなる。
縋るような、挑むような、そのどちらでもある感情が込められた二つの目が、ルークを捉えている。


いつもこうだ。始めは引きはがそうと抵抗してくるのに最後には決まって縋り付いてくる。勿論、理性が役立たずになったからこそそうしてくるのだろうが。
けれど今は、まだ完全になくなっていない。彼のプライドという名の理性はまだ辛うじて残っていて、ルークを拒絶してくるのだ。もっとも、もう射殺すような強い視線でしか示すことはできないようだが。


「し、ね……へん…た」



ああ、まだ辛うじて口も聞けるのか。
ルークはまた可笑しくなって苦笑する。

そして…



「愛してる、クラウ」



まるでその言葉で全てが許されるように、囁く。

実際、こう言えば彼は大人しくなった。勿論我に返ればまた暴れ出すのだが、いつもこの一瞬だけは彼は動きを止める。吐息さえも漏らさず、指を僅かに動かすことすら止めようとする。
それがどうしてか、ルークは知っていた。

彼は「反応するのが怖い」のだ。
自分もルークを好きだと反応するのが。ルークと今までと違った関係になるのが。


だってルークは彼を愛してなんていないから。






『友人』として傍に居る。それだけで満足だったしこれからもその想いは胸に秘め続ける。彼がそう決意していたことをルークは知っていた。
周囲の感情――特に自分に向けられたものには聡い方だと自覚していたルークでさえ、気付くのには時間がかかった。まさか彼が、とも思っていたからだろう。

ルークは彼に対して特別な感情は持っていない。ただ『その他大勢』を相手にする時ほどの億劫さを、彼には感じない。隣にいることが楽だった。
その『特別扱い』にも似た何かのせいだろうか。それでもルークという人間を知っている彼がルークを好きになる理由には小さすぎるような気もするが。



「……冗談っ」


十秒は続いただろう沈黙の後に彼が答える。いつもと同じ。
頷きながら冗談だと囁いてやれば傷ついたように一瞬目を逸らす。

その様子にどうしてか、痛んだ。何処がかさえわからない。



そういえば、彼をいつから抱いているんだったか。どうして抱くことにしたのか。どうして今も抱いているのか。
そんなことも思い出せない。

ただ分かるのは彼の下肢がひどく濡れていることと、ルークのものを含んだそこから水音が聞こえてくることだった。
それから、おそらくそれを引き抜けばそこから白濁したものが後から後から流れ落ちることも。



「……クラウ」

「は?……――あっ、…くぅ!!」



ドクリと最奥に放てば彼のもまた果てた。












そういえば、初めて彼を抱いたのはやはりルークからで、彼はやはり抵抗していた。
嫌がる彼を見ながら本当は嬉しい癖にと心中で罵倒した。けれど、彼はその日、果てることはなかった。


愛してると初めて言ったのは、その次の日だった。やはり冗談だろうと返されたから、冗談だと答えた。

もしも「俺も」と答えたら、解放してやるつもりだった。



今日抱いているのは想像したからだ。こうして抱き続けていればいつか彼は「愛してる」と答えるかもしれない。その時ルークは彼を解放するのだ。けれど、解放したその後に、彼はどうなるのか。

そんなことを考えている時親しそうに彼と話す男を見付けた。瞬間、彼がその男に抱かれている様子が思い浮かんだ。




わからない。

わからない。


自分が何をしているのか。何をしたいのか。



ただこんなにも――が痛む。


「……何、お前…泣いてんの?」


「……え?」



視界が歪んでいる。そう思ったら彼の指がルークの頬を撫でた。
泣いてる?言われるまで気付かなかった。



「………愛して、ない」

「知ってるし、俺もだ」

「嘘だ」

「だから知ってるっての」





本当に、どうしてしまったのだろうか。
自分のことなのに何もわからない。



ただ一つだけ確かなのは、彼と繋がる時だけが安心できるような、そんな気がすることだった。





―END―





ニセモノでごめんなさい!

大伝勇伝1巻を読んだとき、ルークのイメージががらりと変わりました。変わり過ぎて原作から遠く離れていきました。

何かもう…信じることに臆病であればいい、なんて思いまして…
そうしたらやたらと弱く。そしてクラウまでもニセモノに……


久々にえろに挑戦しましたがシーンとしては殆どありませんね。描写だけ思い出したように書かれていますが。



一つわかりづらそうなので補足を。ルークはクラウのことをちゃんと好きですが、初恋の上に無自覚です

本文中でわかるように書かないとなあ…




箱庭の箱様
痛いんだ



08.01.13


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