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月夜ノ晩ニ(ルークラ) [ 105/196 ]
しんと静まり返った海岸。
空に浮かぶは青白い月。
三日月よりもずっと細いそれは、おそらくもう数日で新月となるのだろう。
闇に包まれた紅は、いつもの燃え上がるような色と違い、僅かに儚げに見える。
クラウは、特に何をするでもなく、海を見ていた。
「クラウ」
「…ルークか」
数日前に、ローランドに帰ってきているという噂は聞いていた。それも王様直々の情報だから間違いない…のはまともな王だけであって、少なくともローランドの王は性格だけは最悪だ。
王というのは性格がねじ曲がっていないとできないものなのだろう。
だからこそ嘘かもしれないとも思ったのだが。
「お噂は聞いております。クロム元帥閣下」
「…嫌味か」
畏まった物言いに、クラウの額に皺が寄る。
「別に、普段通りでいいだろ」
「冗談だって」
ルークの口元が、年相応に緩む。
「出世おめでとう…って言ったら怒るよな?」
「当たり前だ!」
「じゃあご愁傷様。これでいいか?」
「…〜〜」
悔しそうに顔を歪ませるクラウに、ルークは楽しそうに笑う。
「…だいたい、お前はずるいんだよ。俺は書類ばっか押しつけられてんのに自分だけ極秘任務なんて」
「寂しかったか?」
「…っ…んな訳ないだろ!」
「クラウは素直じゃないな〜」
「…なら、お前は素直で可愛い『隊長』のとこに行けばいいだろこのロリコン!!」
そう言うと、クラウはルークに背を向けた。
久しぶりに会ったというのに、どうして喧嘩なんてしているのか。
このまま、また会えなくなってしまうのか。
そう思うと苛立って、乱暴に砂を踏みしめる。
「クラウ…」
「うっせー」
「せっかく会えたんだし、話でもしないか?」
「…そこまで言うなら話くらいしてやるよ」
ある月夜の晩
二人の男が砂浜に腰を下ろして語り合っていたとか。
─end─
…何やら問題ありまくりですみません(-.-;)
クラウが乙女っぽいとかタカビーな気がするとか思っちゃ駄目ですよ(涙)
‡配布元:銀ノ弾丸
‡URL:http://pksp.jp/silver-bullet/
10題1
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