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初恋(バユクラ、学園物) [ 103/196 ]
暑い夏の盛り。
クラウは汗だくになってノートを開いていた。
もう、夏休みも僅か。
「…マズイ」
非常に不味いのだ。
夏休みは残り僅か。なのに、クラウの宿題は山となっている。
とてもではないが一人では不可能だ。
だいたい面倒くさい。
クラウは勉強が嫌いだった。
「あー…学校辞めっかな」
そう思いかけて、首を振る。
とりあえず高校までは出ておかなければ…
「…暑いしやる気しねーし」
そこでふと立ち上がると、外に出た。
+++++++
「おっ、涼しい」
「……」
ドアを開けると冷房の冷たい人工的な風が吹いてきた。
中から涼しげな顔をして出てきた男を押し退けてズイズイと入っていく。
「…勝手に入ってくるな」
「おまえの宿題見せろ」
「帰れ」
バユーズは顔色一つ変えずに言った。
「だいたい『夏休みのしおり』とか馬鹿らしいよな。うわっ。おまえちゃんと日記書いてんのかよ」
「勝手に見るな!!!」
クラウはバユーズの机をあさり始める。
「いやぁ、宿題終わんねーからさ。写させろ」
「…あんなもの初日に片付けるだろ。普通」
バユーズは額にしわを寄せた。
「…ったく。手伝ってやるから貸せ」
「いいのか!?」
何を隠そうバユーズ、初めての恋。
好きな相手にはとことん甘くなってしまうのだ。
当の二人だけは気づいていないが
─end─
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