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教室、夕陽、告白(シオライ) [ 102/196 ]

※学パロ





「お前さ、俺のこと好きだろ」


せっかくまどろんでいたのに、目の覚める一言。
目を開けるとそこは教室。自分の机に突っ伏すようにして眠りかけていたため、少し体が痛い。
痛む間接を撫でながら顔を上げる。目に映ったのは親友。それから教室中を真っ赤に染め上げた夕陽。
「寝ぼけてんの」
寝癖を撫でるように直しながら親友を見据える。
「寝ぼけてるのはおまえだろ、ライナ」
「まだ寝てねーし」
「そうか?」
普段通りに言葉を交わしながら、先ほど言われたことの意味を考える。好き、とはどういう時に使う言葉だったか。俺はこいつが好きなのだろうか。
「お前こそ、俺のこと好きだろ」
軽い調子で言ってやる。

「ああ、好きだよ」
「……」
サラリと返された。
「お前、『コレ』なのか?」
「別にゲイじゃない。たぶんバイなんだろうな」
「へー」
「男がっていうよりは『ライナ』が好きなんだ」
「へー」
どうしよう。頭がくらくらする。今すぐにでも眠ってしまいたい。
ひどく混乱している。
だってこいつは親友で。隣に居てまあ楽しくて。嫌いじゃなくて。
だけどそういう風に考えたことはなくて。
嫌いじゃない。でも、それは好きと同義語ではない。
そもそも、誰かを好きになるとか、そういうことは考えたこともなくて。
「で、お前は?」
そう聞かれて、どうしたらいいんだろうと思った。
嫌いじゃない。隣にいることは居心地がいい。だけど、好きじゃないと言ったら、もう親友は隣りからいなくなるだろう。
だとしたら、俺はどう答えたらいいのだろう。
だとしたら、俺は。


――お前さ、俺のこと好きだろ

好き、なのかもしれない。
嫌いではない。
離れたくない。

「俺は、」

俺は、お前を好きになれるだろうか。



「ライナ」



目を開ける。
教室。夕陽。赤に染まる親友。
「れ、シオン?」
「よだれ。拭け」
「あ、うん」
シオンに差し出されたティッシュで塗れた口元をぬぐう。
「フェリスが美味いだんご屋見つけたってさ。寄って行こう」
「あ、うん」
「どうした、ライナ。変な顔して」
「お前ってさ」
「ん?」
「俺のこと、好き?」
「まあ好きだな」
「へー」
「へーって」
「なんか、変な夢見た」
「ふーん」

もしもあれが現実だとしたら、何と言っただろうか。自分のことなのによくわからなかった。



‐END‐



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