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とある暑い夏の日に…(シルライ、過去捏造) [ 55/196 ]


「どうもこんにちは。シルワーウェスト・シルウェルトです。シルって呼んでください」

ニコリと、好印象を与えるような笑顔で言ってのけたのは槍を持った少年。



ライナはそれを見て

『どこの部族に迷い込んだんだろう。もしかして首狩り族?』

などと考えた。





うだるような暑さだった。
燦々と照りつける太陽が憎らしい。

そんな、夏のこと。




ライナは関わらない方がいいと判断して、シルに背を向けた。

が、




「ライナ・リュートさん覚悟おぉぉぉぉぉ!!」





背後から飛んできた槍をとっさに避ける。
どちらの機敏さも、同年代の子どものそれとは比べものにならないほどずば抜けている。


「あなたは強いと聞きました!僕はあなたと戦ってみたい!!」
「…俺は戦いは嫌い」


ライナはひょいとした調子で、軽々と槍を避ける。それでもシルは楽しそうに戦いを挑んでいく。



「あなたは強いですね!!でも、僕の槍をもってすれば!!」
「しつこい」



次の瞬間、ライナの眼が悲しげに揺れた。


「下がってろ」


一言、シルに言うと、ライナは背後を振り返る。



震えながら立っている男が、そこにはいた。



「あ、複写眼のバケモノめ!!…殺してやる…殺してやる!…殺してやる!?」


持っていた槍でライナに襲いかかってくる。それを、ライナは冷たい眼で見ていた。


「求めるは雷鳴>>>」

と、シルが動いた。


「槍を、そんなことに使われると困りますね」


それならお前はどうなると言うことは、男にはできなかった。



圧倒的な殺気。

それが、シルから放たれていた。





「あ、あ…」


男は逃げるようにその場を走り去った。







「……助けたつもりか?」

「いえ…あ、でもそうしておきます。だから──」


シルは年相応な笑みを浮かべた。


「今度会ったとき、僕があなたに勝てたら、僕のお嫁さんになってください」

「…俺、男なんだけど」

「それまでに強くなりますから、待っててくださいね!!」




シルはスッと姿を消したのだった。





***




「ライナさーーーん!!勝負してくださいぃぃぃぃぃ!!!」


「何だってそんなに拘るんだよ!?」


ライナは忘れてしまっているようだが、シルはしっかりと覚えている。

ライナ・リュートをお嫁さんにする。

そのためにシルは今日もライナを追いかける。


─end─



‡配布元:銀ノ弾丸
‡URL:http://pksp.jp/silver-bullet/
10題1

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