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我が儘な彼(高似) [ 38/196 ]
「膝枕、しろ」
高杉の声がしんとした室内に響いた。岡田は席を外すべきかと迷った。
たしか室内には来島がいたような気がしたから、彼女に言ったのだろう。命令口調なのが実に高杉らしかった。
スッと立ち上がり、部屋を後にしようとし岡田に、背後から声がかけられる。
「おい、岡田ァ」
「何ですかィ?」
「何処行く気だ」
少し苛立ったような言い方。座れ、と言われたから座ろうとしたら「正座だ」とも言われた。
何なんだと思いながらも言われた通りにした。
次の瞬間、岡田の膝に負荷がかかる。
「――っ!?」
「五月蠅い。静かにしろ」
高杉の声が膝の辺りから聞こえてくる。
「な、何してるんですかっ」
「膝枕、だなァ」
「来島は……」
「ああ?断然お前だろ」
何が断然なのか。そんなことは聞けなかった。ただ、自分が来島の代わりではないらしいことはわかった。
しかしちっとも嬉しくない。
「おい」
「だから何…」
「耳掃除しろ」
手に乗せられたのは、おそらく耳かき。この人は何がしたいのだろうか。
忠誠を試されている?だとしても盲目の人間に耳掃除をさせようなんておかしい。
「おい」
「……いや…その…」
「やれ」
「………」
無理です。どう考えたって。
似蔵はどうしたものかと耳かきを持ったまま固まった。それは高杉が『似蔵に耳掃除はできない』ということに気付くまで続いたとか。
「……仕方ない、俺がお前のをしてやるよ」
「…え?」
「ほらさっさと座れ」
ポンと自分の膝を叩きながら言う高杉
どちらにしても似蔵は困らされたのだった。
――この人の将来が心配でなりません
‐end‐
授業中勢いで書いたSS
似蔵の喋り方が怪しいです;
次は長いのも書きたいなあ…
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