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閉鎖空間(銀全)* [ 36/196 ]
病院という閉鎖空間は正直好きじゃない。
何処が、と言われればそれは「閉鎖的だから」としか答えようがないのではあるが。
閉鎖空間は、時に人を狂わせる。人の心をも狂わせる。
だから好きじゃないんだ。病院は。
「いいだろ、別に。昼に散々突っ込まれてたんだし」
「良い訳あるかっ!」
全蔵はキッと目を細めた。しかし目の前にあるのは白いシーツと枕だけで、問題の天パの姿は見えない。
その天パ…坂田銀時は腰の辺りに乗しかかっていた。
「退け!!重いんだよ!」
「失礼な。俺は別に太ってませんよコノヤロー」
「そういう問題じゃないっ」
どうしてこんなにも慌てているのか。それは銀時が全蔵のズボンに手をかけたからだ。
パジャマのズボンなど悪漢から身を守るのには役立たない。そんなことを思い知らされてしまった。
楽々と引き下ろされたパジャマ。それも、下着ごとだ。
「…な……」
「静かに」
露になった臀部を銀時が撫でる。ゾワゾワと鳥肌が立ちそうになるのに男は能天気なもので、「何、敏感だね」とのたもうた。
冗談じゃない。暴れかけたのだが、易々と押さえ込まれてしまった。
「まあまあ、大人しくしてろって」
菊座に、何かが触れた。慌てて力を込めるがそれはすぐに入り込む。
それはほんの少し入ったところで止まり、先端からゲル状の何かを出した。
「………っ」
「はい、終わり」
銀時はその何かを蕾から引き抜くと、全蔵の服を整え始めた。
「……『終わり』?」
「『中の痔にはチュウッと注入』ってアレだよ。長谷川さんに買ってこさせたの」
スタスタと自分のベッドへ向かう銀時。
…あれ、全部俺の勘違い?
恥ずかしさに涙が出そうになる。馬鹿か、俺は。
「…ありがとな」
「…っ……ほら、昼に色々突っ込まれてたし。俺のせいもあったっぽいし」
それから、ふと思い出したように全蔵を振り返った。
「とっとと治せよ、痔」
言われなくても治すっての
銀時は布団を頭まで被りながら、そっと溜め息を吐いた。
それはちょっとした親切心と、ちょっとした罪悪感と、ちょっとした悪戯心であった。――最初は
如何にも行為を思わせるように薬を塗る、なんて悪趣味な悪戯。
しかし、どうだろう?
(何で…)
全蔵の顔が頭から離れない。
だから、病院は嫌いなんだ。銀時はそう忌々しげに呟いた。
‐end‐
愛之助様遅くなってすみません;
そして駄文ですみません;
病院騒動後の方を書かせていただきましたが、3Zもいつか書いてみようとこっそり思っています(苦笑)
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