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割引ケーキを手土産に(銀土) [ 24/196 ]
気が付けば浮足立つような空気は落ち着きを取り戻しつつあった。
クリスマス。前夜祭とも言えるクリスマスイヴにはあんなにも騒ぐ癖にそれが一日過ぎた、本番に値する日には一気に冷めているなんて、どうなんだろうか。
結局そのイヴだってケーキはおろか御馳走になんてありつけずに終わったのだが、どうも腑に落ちない。
銀時とてクリスマスイヴに恋人と過ごしたい、なんて女のようなことは言わない。
しかし周囲の人間がやたら恋仲を自慢して歩くようなイベントを楽しんでいるのに、自分だけが参加できないことが納得できないのだ。
『生憎、死ぬほど忙しい』
昨日の夕方、土方に電話をかけるとその一言で切られたことを思い出す。
そんな忙しい中もでてくれたのだと喜ぶようなポジティヴさも、昨日ばかりは発揮できなかった。銀時が死ぬほど暇だったせいもあるだろう。
しかしそんなイヴも終わった。
そして今日の世界はこんなにも平穏だ。
これなら、会えるだろうか?
また携帯に電話して一言で切られるのは嫌だったから、確かめない。
けれどケーキ屋で売れ残ったクリスマスケーキを買う。
――もしも仕事中だったら、ゴリラにケーキでも投げ付けてその隙にさらってやれ
そんな物騒なことを考えながら、屯所に向かう。
『万事屋でーす。クリスマス割引でお安くしとくんで、何でも言い付けてね』
―END―
Q.何で土方さんが出ないんですか
A.気にしたら負けです
コトノハ様
割引ケーキを手土産に
07.12.31
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