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これって夢かな(銀土) [ 23/196 ]
ひんやりと気持ち良い。
それが額に冷えたタオルを乗せられたからだと気付くのには多少の時間を要した。
「………あれー?」
いつもの調子で出そうとした声はひどくガラガラで、そういえば風邪を引いたのだと思い出す。でも、いつから眠っていたのだろうか。思い出せない。
「………起きたか」
「れ、ひじかたくん?」
何でいるの?
何故か私服の土方は手に卵粥を持っていた。
「食え」
「………え、うん」
何故か妙に優しい気がして調子が狂う。それとも彼は普段からこうだっただろうか?
「………これって夢かな」
「何か言ったか」
「何も!!」
滅多に無いことな訳だし、今日は優しい土方を堪能するとしよう。
そう決めると楽しくなって口元が緩む。
「さっさと食え」
土方の手が、匙に触れる。
……あーん、って……俺ガキ扱い?
それでも嬉しくて「あーん」と口を開けると冷まされた粥が放り込まれる。
卵の味が口内に広がり……
広がり……?
「――げほっごほっ!!!」
「吐くな。マヨが勿体ない」
「粥にマヨ入れんな!!――げほっぐほっ!」
……まずかった。
でもきっとこれは不器用な彼なりの優しさだから。
我慢して全部食べた自分は本当に偉いと思う。
「あとお前40度あったから座薬入れといたから」
「――っ!!」
……やっぱりいじめられてる気がしないでもないけれど
―END―
本当は土方視点の前半があったのですがつじつまが合わくなったのでさっくり削除
削除し過ぎて色んなことがわからなくなりました
昨日と今日の狭間
台詞×10
09.これって夢かな
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