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届け物(黒火) [ 22/196 ]

※第2Qでこんなことが起こっていたらいいな、と




試合に出るため、正式にバスケ部に入るためには本入部届とやらがなければならない。その事実を知った火神は廊下を駆けた。
仮入部なんてまだるっこしいものはどうでもいい。というか、自分がその状態であることなど気づきもしなかった。
とにかく、入部しなければスタートラインにも立てないではないか。

その時、なんとなく、アイツが先に貰っていたら嫌だなと思った。

……なんというか、気に食わない。
弱いくせに口だけは達者で。それでもその口に自分は勝てないような気がする。


無我夢中で走っていると後ろから声をかけられた。


「廊下は走っちゃダメですよ」


……今まさに、お前のことを考えていて、お前に負けたくなくて走っていたところだとは口にする気にもなれない。


「……テメー」
「欲しいものなら、もう火神君の分も貰ってきちゃいましたよ」

そう言って黒子は火神に紙を渡す。
どうやら本入部届のようだ。が、この男に用意してもらったのが気に食わない。それくらい自分で取りに行くわ、と言いかけたが、黒子が有無を言わさぬ勢いで紙を押しつけてきたので受け取ってしまう。
いくらそんなことしたって礼は言わねーぞ、と心中で呟きながら紙を確認する。

確認……する。


「は?」


その紙には「本入部届」とは書かれておらず、ただ「婚姻届」と書かれていた。


「そろそろ必要だと思いましてさっき取ってきたんです。火神君も僕と同じ気持ちだったんですね。それも走ってまで取りに行こうとするなんて」

「ちげぇえええええええ!!!」

叫びながら、真っ二つに裂く。


黒子の残念そうな顔を見ながら、この男の冗談は冗談に聞こえないからタチが悪いと思う。







この後、カントクに「黒子も本入部届を取りに来た」と告げられて余計に黒子に対する苛立ちが増した火神だった。

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