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さようなら、過去の君(オーフェン・ハー←オー?) [ 142/196 ]
聞き慣れた声が聞こえなくなるのと、寂しさを自覚し始めたのは随分と昔のこと。
今ではそんなことチラリとも思い出さなくなったし、それでいいとさえ思う。あの日々のことはただの思いでとなり、埃を被って色褪せていくことだろうが、それでいいのだと。
だけどどうしてか。ふと隣を見て、ため息が漏れるのは。
足りない、からだろうか。
雨が降った後の空はくすんだ色をしていた。灰色で重苦しい、そんな色。
街を歩く中で擦れ違った女に振り返る。
(あれ、は……)
あいつの好みだろうか。そんなことを思いながら。
親友と呼べる友だった。とはいえそんなこと口に出して言う気は失せるのだが。
ライバルであり友であるなんてそんな歯の浮くような言葉がよく合うような気もする。とりあえず、そんな男。
最後に会ったのは、もう随分と前だ。もう自分のことだって忘れているだろうか。
――キリランシェロ
思い出の中の彼が、自分を呼ぶ。
あの頃に戻れたら、と時々思うことがある。俗にいうホームシックというやつによく似ていた。
でも、もしも戻れたら? 自分はどうするのだろうか。
どちらを選ぶ?
彼女があんなことにならなかった、なんて都合の良過ぎる過去は存在しないし、きっと戻れないだろう。だから自分が彼女を、彼女の最後を見た場面へ戻ったら……
どちらを選ぶ?
アザリーか、ハーティアか
「オーフェンさーん」
マジクの声がして、考えの渦が消えた。
「何だ?」
「何だじゃないですよ。魔術教えてくれるって約束――」
否、選ばない
きっと今と同じだ。自分が彼女を捨ててのほほんとそれまでの日々を手に入れた所で。
それはきっと自分らしくなかっただろうし、後悔だってしただろう。
ただ、自分らしくあるだけだ。それだけが自分を動かす源となる。
たとえ大切な友人を失おうとも
「黒魔術士殿」
「オーフェン」
「オーフェン様ああぁぁぁ!!」
「あの、あれ何でしょう」
「気にすんな。それより授業料は?」
「え、お金取るんですか!?」
「当たり前だろうが!!」
――キリランシェロ
もう、その名で呼ぶな。俺は今『オーフェン』だから。
だから、お前のことなんて『キリランシェロ』にくれてやる。
(あばよ、ハーティア)
たとえこの先に待つ未来がどんなものでも。後悔しか生まなくとも。
それでも、自分は自分らしくあるだけだ。『キリランシェロ』ではなく『オーフェン』として。
いつか再び会った時、遠慮なく戦えるように
―end―
友情といえば友情にしか見えないハー←オー
時間的には無謀編
ええと……
これ以上のコメントは辛い…
駄文ですみません;
あ、最初の固まり書くまでは連載終了後のマジオーにしようかと思ってたんです
でも長いこと離れ離れなのは可哀想かなあ、と(特にマジクが)
そして結局ハーオー(?)に
2006.06.24
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