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赤い花に愛を込めて(銀土) [ 34/196 ]



※土方さんの誕生日





恋人と二人暮らしを始めたのに深い意味はない。
相手は「同棲だー」と楽しそうにしていたけれど。お互い実家から大学がそれなりの距離で、かといって一人暮らしをするのには面倒くさいし金はかかる。妥協に近い形で成立したのは決して同棲などという甘いものではなく利害の一致からのルームシェア。
の、はずだ。

「え、毎日やりまくるためじゃなくて?」
「死ぬか」



二十歳になった今となっては「こどもの日」というものはすっかり他人事だ。まさか鯉のぼりを出してくるわけにもいかない。それは同居人も同じようで、ただ柏餅だけは要求してきた。

「やっぱさ、こういうイベントは大事にしなきゃいけないと思うわけよ」

そういって大量に買ってきた柏餅を大事にかみしめている姿はなんとも微妙である。
イベントといえば、土方の誕生日もそのこどもの日である。

(まあ、期待はしないけど)

そもそも銀時に誕生日を教えた記憶がない。銀時の誕生日を聞いた覚えもない。だからお互いに誕生日など知らないのだろう。
それならそれでいい。この年になって誕生日を祝ってもらいたいとは思わない。幼いころはケーキだったりプレゼントだったりを楽しみにしていた気はするけれど、高校生になった辺りから自身の誕生日への関心は薄れていった気がする。

今更「今日は誕生日だ」と告げたところでこの男が何かするとは思えないし。


「あ、そうだ」

銀時が柏餅を頬張りながら声を上げた。
立ち上がると、どたどたと走りだす。自室へ向かったのだろうか。
仕方なく出しっぱなしになった柏餅のプラスチック容器に蓋をする。

今日が誕生日だと告げたら、あの男のことだ。柏餅の葉を差し出してきそうだ。
なんとなく思い浮かんだ場面に苦笑する。




「土方」




いつの間にか戻ってきていた銀時が土方の背後に立っていた。
振り返ると、赤い花。




「生まれてきてくれてありがとう。二十歳、おめでとう」




…………何で知っているんだか。









「つーか、これ、カーネーション」

「何言ってんのバラだよバラ」

「いやこれどう見てもカーネーションだろ。母の日かよ」





―END―


なんかもうごめんなさい。
土方さんお誕生日おめでとうございます!

5日になってから書きましたごめんなさい。



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