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夜道を歩こう(リーライ) [ 79/196 ]
ヒタ…
ヒタ…
自分が歩く数歩後ろから、不気味な足音。
辺りは真っ暗で、実に不気味だ。
だが、ライナにはその足音の主がわかっていた。
「リーレ…お前何がしたいの?」
この暗がりでもよく目立つ、水色の髪。
で、どうにもリーレなのだ。
「…ライナさんがストーカー被害に遭わないように見守っていました」
「…いや、お前がストーカーしてんだろ」
ま、いいか。
ライナはリーレの手を掴むとスタスタと歩き出した。
「ライナさん?」
「別にいいだろ。たまには」
怒ったように乱暴な口調で言うのだが、顔が赤い。
真っ赤。
繋いだ手は僅かに震え、リーレは微笑んでその手を強く掴んだ。
「ライナさん」
「何だよ」
「いえ、何でも…」
夜道を歩こう。
一人で、耐えきれなくなったときは
ただぼんやりと夜道を歩こう。
それが、ライナの習性。
それを知っていたのか、リーレはただただ隣を歩く。
悪くない。
悪くないけど…怖い。
この先誰も居なくなったら。会えなくなったら。
「…なあ、遠回りしねーか?」
「いいですよ」
右に行けばライナの宿
左に行けばリーレの宿
だから二人は真っ直ぐに進んだ。その先には何があるかわからない。
行き止まりかもしれないし、いつか誰かが言っていた海があるかもしれない。
だけど今だけは…
夜道を歩こう
以前は一人
今は二人
─end─
‡配布元:銀ノ弾丸
‡URL:http://pksp.jp/silver-bullet/
10題1
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