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空を御覧。真っ赤だよ(dear・キャロ紅) [ 160/196 ]
お似合いだと思った。
(何だ、あんな風に笑えるんじゃないか)
悔しい、と思った。
キャロルが見たのは何でもない日常の一コマだった。紅とプリノが笑っていた。ただ、それだけの一コマ。
そこに自分が居ない。ただ、それだけ。
(笑えるんだ。そこに僕は必要ない)
寧ろ怒らせてばかりだったし。
それでもきっと自分は彼の中の特別に属しているのだと思っていた。
けれど、きっとプリノには勝てない。彼の中にある母親の存在にすら勝てない。
(知ってたさ)
(でも、)
(もうちょっと僕に色んな感情をくれたっていいのに)
(「特別」にはなれない、か)
「………悔しい、な」
諦めきれる筈がないのに。
「………おい」
声をかけられて、体が跳ねた。
「………」
無視してやれば怒ったような声が降ってくる。
「具合でも悪いのか?」
「………」
更に無視すると、少し焦ったような声。
「おい、真っ青だぞ?」
あんたのせいだよ。そう言ってやったらどんなに楽か。
傷ついた彼の顔が見たくて、見たくなくて、ドロドロしたこの想いをぶつけてやれば彼は一体どうなってしまうのか。
言葉は、すんでの所で飲み込んだ。
「気のせいですよ」
「………」
少し困ったような表情をされた。
重くなった空気を和らげようと、いつもの調子で声を出した。
「何ですか、心配してくれてたんですか?愛されてるなー」
「………………」
「?」
けれど紅は何も言わない。違う、と否定しない。彼らしくもないと思いながら紅の顔を見れば……真っ赤だった。
(……………え?)
まさか……
まさか?
図星だとでもいうのか?
「紅さん、空、真っ赤ですね」
漸く音になったのは、そんな言葉で、
返って来たのも、そうだな、なんて素っ気ない言葉で、
それでも僕らにしてみれば大変なことで
「好きだなあ、こういう赤」
「…………」
貴方の赤を夕日の赤に重ね合わせて、そんなことを口にした。
やがて、二人はその場を後にした。
相手の想いを確かめられないのは、怖かったから。
―END―
そんな訳でキャロ紅。
ぐだぐだし過ぎな両思いです。
誰かがくっつけてくれるまでくっつきそうにない感じです
昨日と今日の狭間
台詞×10
03.空を御覧。真っ赤だよ
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