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ひとまず、手を繋いで歩こうか(水火)-3- [ 20/196 ]




ひょんなことから、後輩と付き合うことになった。

後輩、というのはバスケ部の後輩で、同じ性別の、つまり男子生徒。
ひょんなことから、というのはその後輩がうっかり気持ちを漏らしてしまったことから、ということ。
そう、本当にうっかりと。自然に口から漏れてしまったように。

しまったと口元を手で押さえ、顔を真っ赤にしている後輩を可愛いと思って、水戸部は自分の気持ちを悟った。
ああ、好きだったのか。不思議とすんなり受け入れられた事実を後輩に伝えてやると彼はとても驚いたようだった。同時に、嬉しそうだった。

それが、始まりだった。




   



火神の身体は綺麗だと思う。
汗ばんでしっとりした肌に触れる。滑らかな肌は触り心地が良い。

「あ……」

胸の突起に触れると、火神の身体が跳ねた。
同時にきつく締め付けられる。達しそうになるのを堪えながら、火神のモノを刺激していく。

「……あ…っ、……み…とべっ」

甘く名前を呼ばれて、ああもう限界だと思う。そのくらい火神は綺麗で、可愛かった。





――ジリリリリリッ


目覚まし時計がけたたましい音を立てる。
見慣れた天井。じっとりと汗をかいた身体。それから下半身の違和感。

(夢、か……)


火神と付き合い始めて1ヶ月。未だにそういうことにはなっていない。それに、キスはおろか、手を繋ぐということもしていない。
最初はそういったことをするものだと気付かなかった。けれどそのうちしたいと思うようになった。
だが、きっかけを掴めないまま、触れ合わない付き合いは続いている。
途中まで一緒に帰ったり、本屋やファストフード店に寄り道したり、それくらいで、デートと名のつくものさえしていない。
だが物足りないとは思わない。したいとは思う。無理にしたいとは思わない。

……火神は、どう思っているのだろうか。
たしかに火神は水戸部を好きと言った。けれど、それが勘違いでないという保証はない。
自分は火神に触れたいしキスしたいしそれ以上も……したいと思うのだが、火神はそうは思っていないのかもしれない。


そうだ、本当は確かめるのが怖いのだ。





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