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十人十色の告白模様(沖マダ) [ 45/196 ]

何故か仕事に恵まれない。
仕事先が見付かっても、必ず邪魔が入る。



なんでだろうなあ……









「別に無理して働くこたァないんじゃねーですか?小遣いなら俺がやりまさァ」

「……いや、小遣いとか言わないでくれる?借金だからね。ちゃんと返すし」



屋台で飲みながら今日の仕事の愚痴を話す。隣にはSっ気のある……いや、この上なくドSな飲み仲間。

あれ、そういえばこの子未成年……まあいいか。

兎に角、自分は彼の酒に付き合う、ということを条件に彼から無利子で借金している。プライドは無いのかと言われそうだが、最初無理矢理金を渡してきたのは彼の方で、それを受け取ってしまったため断り切れずズルズル続いているのである。
ちなみに仕事が上手くいったら返すと言っているのだが、なかなか上手くいかないため返せていなかったりする。



「まあこれも清く正しい援助交際ってことで」
「中年相手にしても楽しいことじゃないだろ……」
「俺は長谷川さんと酒が飲める。長谷川さんは金が手に入る。これはギブアンドテイクってやつですねィ」


何で沖田は自分と酒を飲むことに価値を見出だしてるのだろうか。普通、金を払ってまで一緒に飲んで欲しい相手なんてそんなにいない。それを自分と定めた理由は……ただの同情だろうか?
ドSと言いつつも彼はまだ子供で、優しく、潔癖だ。だから自分のような者を放っておけないのかもしれない。

深く考えるのはやめる。
自分は沖田から金を借りて、いつか返す。それだけで十分だ。
まあ、いつ返せるのかわからないのが困ったところなのだが。



「アンタは働かなくていいんでィ」
「それはちょっと困るかな……生活できなくなるし」
「そしたら俺が飼ってやらァ」


沖田は愉快そうに笑った。


「そしたらアンタは俺だけに依存して、俺だけを見て、俺だけを思えばいい」


甘く囁く声が、どこか遠くから響いていた。
酔いが回ってきたのか、眠くなってくる。重い瞼を閉じると、沖田の手が髪を撫でるのがわかった。

「アンタを養えるのは俺くらいのもんだよ」





……目が覚めたらまた忘れてしまうんだろうか。




素面の時に言ってくれたらもしかしたら
(好きになるんじゃないかって、)


‐END‐


総悟はわりと毎回言ってるんだけど毎回翌朝には忘れてしまう長谷川さん
でも長谷川さんが素面だったら絶対言いません。そんな総悟。




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