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結局好きってことなんだけど(シルライ) [ 60/196 ]



「あーそうそうお前たち付き合ってるんだって?おめでと」

「はぁあああああ!?」

「あ、そうなんです☆」

「ちょ、『そうなんです☆』じゃねぇえええええええええええ!!」




   結局好きってことなんだけど



その日は朝からついてなかった。


「よーし今日はあの鬼畜魔王にこき使われることなくずっと寝てられる日だ」と昨晩ベッドに入ったのに、何故か目が覚めたのは午前2時。シオンに仕事させられすぎて体が眠ることを拒否しだしたのかと疑ったが、原因はもっと簡単だった。起こしたヤツがいた。それだけだ。

目を開けると一応男のライナのこれまた一応男の恋人――シルがいた。ここ数日ずっとシオンのところに泊りこんで仕事していたため今日こそは一緒に修行がしたいとかそんなことを喚いていた。うるさいから無視して眠ろうと思ったが肩を掴まれてガクガクと揺さぶられると気分が悪くなってくる。仕方なく「これ以上したら別れるからな」と告げれば急に動きを止めた。うん、良い子だ。
不服そうなシルを布団に招き入れると、そのまま一緒に眠った。実のところライナはこうしてシルと一緒に眠ることが好きだった。ふと目覚めた時にシルの寝顔が見れたり寝言が聞けるのは面白いし、可愛いと思う。なんて、本人に言うつもりはないが。

さっさと眠りに落ちたシルに抱き枕扱いされたがそれでもなんとかそのまま眠ることに成功した。しかしその後が問題だった。



「おっはよー」

ぞくりと悪寒がした。目を開けてはいけない。これは夢だ。それも悪夢。
ライナはぎゅっと目を閉じる。が、そうすることで体に余計な力が入ったからだろうか。相変わらずライナを抱き枕扱いしていたシルが身じろぐ。

「んー……ライナさん?」

シルが起きる気配がする。それでもライナは寝たふりを続けた。


「あれ、なんでここに……」

シルが不思議そうに首を傾げる気配。
それでも眠るフリを続けると今度はシオンの声がした。


「あーそうそうお前たち付き合ってるんだって?おめでと」


……は?



「はぁあああああ!?」

「あ、そうなんです☆」

「ちょ、『そうなんです☆』じゃねぇえええええええええええ!!」


思わず寝たフリをやめて叫ぶ。


「あ、ライナおはよー」

「『おはよー』じゃねーよ!付き合ってるとか何だよ!!」


へらへら笑っているシオンの首を絞めていると、シルに止められた。


「本当のことです」


普段のシルとはどこか違う、真面目な様子で、ライナをシオンから遠ざける。



「僕たち、付き合ってるんです」


その様子に思わず見惚れてしまい、後にライナはシオンにからかわれることになるのだが。その時はそれでいいと思ってしまったのだから仕方がない。





   ***


夜。
あの後結局眠ることはできなかったので、ようやく眠れるとライナは呟いた。

シルと共に布団にもぐり込むと、朝のことを思い出す。


――僕たち、付き合ってるんです


真剣な目が自分を貫くのを思い出す。

もしかしたら、
もしかしたらシルはシオンに嫉妬したのではないか。そんなくだらないことを考える。
けれどなんとなく気分が良くなった。

いつもそんな風に真面目な表情でいればいいのに、なんて思う。でもその表情は自分だけが独占していればいいような気もする。やはり言う気はないが。


そっと、シルの胸に顔を寄せる。

「ライナさん?」

普段からすぐ勘違いするシルだから、これでその……つまり、そういう展開になるだろうななんて思う。それでも抵抗しようとは思わなかった。


「……えっと……ライナさん?」

「…………」

シルは不思議そうに首を傾げるだけだった。

察しろよ。
……いや、察しなくていい。勘違いしていつもみたいに……いや、別にそんなこと望んでいるわけじゃないぞ!?ただ今日は別にそうなっても許してやろうかなんて思って……いや、違う!?
だから、とにかく今日は何か気分いいからちょっとは甘い雰囲気ってヤツになってみてもいいかなって、こんなに俺が譲歩してるのにお前なんで気付かないんだよ!?ってなるわけで。なんか面倒臭くなってきたし。


「もーいいや、おやすみー」

「え?」


そして、シルの胸に顔を埋めたまま眠る。まあ、埋めるという表現を使えるほど胸があるわけじゃないけど。男だし。





夢の中には「え、もしかしてライナさん誘ってたんじゃ……あああああああごめんなさい起きてくださいライナさん!!!」なんて叫んでるシルがいた。
その隣で自称・槍のぶーちゃんが慌てふためく主を慰めていたような気がするがそれも夢だろう。

でもってシオンがそこに加わって変なアドバイスを始めたとかそんなの夢に決まってる。




(俺は平和に眠っていたいだけなのに!)


……ただ、その「平和に眠る」ためにはきっとシルの存在が必要で、
そのせいで「平和に眠る」ことができないという大きな矛盾が存在しているのだけれど。


まあ、なんか色々考えるのも面倒だし、いいか。



明日こそは平和な日が訪れますように。
――そしたらまた一緒に昼寝してやるのに、なんて。



−END−


木村さんに半ば強引にリクエストを頂いたところ、3つほど案を頂きまして。それ全てに萌えたあまり全部混ぜたらこんなぐだぐだになってしまいました!ごめんなさい!!
恨むは自分の文才の無さです…

しかも自分的には糖度高めだったりします。これで!?とか言わないでください(汗)


木村さん、とりあえず無言でゴミ箱に叩きつけてやってください。

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