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十人十色の告白模様(シオライ、学園物) [ 95/196 ]
それは、くだらないプライドだったのだろうか。
ちょっと伸びた黒髪に寝癖がついているのを見ると、なんだかよくわからない幸福に包まれる。
いつも力無いフラフラした歩き方をしているものだから、後ろ姿だけでもすぐわかる。
クラスの違う彼――ライナ・リュートを知ったのはいつのことだっただろう。そう遠い過去のことではなかったとは思うのだが。
それが、口には出さないだけでお互い相手のことを親友と思っている、そんな関係になったのは最近のことのような気もする。けれどずっとずっと昔からそんな関係だったのではないかと錯覚してしまう。
「ライナ」
声をかけると眠そうな声が答える。
「なんだ、シオンか」
「なんだはないだろ」
こうして向かい合うだけで幸福だと、シオンは思う。
けれど、それは不思議なことだった。
何故、ライナに対してだけささやかなことで幸福を感じるのだろうか。
……いや、ごまかすのはやめよう。
不思議でも何でもない。好きな人間と向かい合うならそれだけで幸福になれるものだ。
そしてシオンは、
その真剣な思いをライナに伝えてしまうつもりだった。いや、伝えようと何度も何度も考えて、今日になった。今日もダメならまた明日になるだろう。明日もダメなら明後日に。
一生伝わらないような、そんな風に足踏みしている理由はただ1つ。
怖かった。
ライナからの拒絶が。ライナからの嫌悪が。その反応のすべてが。
だから、伝えなければいいと思った。
……それでも
それはくだらないプライドだったのだろうか。
(いや、ただ相手の反応が恐ろしかっただけだ)
「俺のこと好きなんだろ?ごまかさなくていいよ。お前が俺を好きなら、付き合ってやってもいいし」
さあ、彼はこの言葉に隠された真剣な想いに気付いてくれるだろうか?
‐END‐
まわりくどい告白。
よくわからない話でごめんなさい。
2008.9.11
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