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三人三色の苦手な表情(フロ→クラ) [ 112/196 ]
つい、目で追ってしまうのは紅の髪。どこにいても目立つ存在だ。色だけでなくその持ち主がいつも何かの中心にいるせいでもあるのだろうが。
その男の何が、引き付けるのだろうか。考えてみてもわかりそうにない。
理解できない。そのカリスマ性のようなもので、人を引き付けるのだとわかりつつも理解することができない。だってそうだろう。自分が引き付けられないのだから。
クラウ・クロムがフロワードを見る時は、たいてい怒っている。
まるで余所者を威嚇する猫のような瞳でこちらを睨んでくる。
気に入らないようで、それほど気にならない。わかりやすい警戒や嫌悪は嫌いではない。表情と腹のうちが真逆の人間よりはよっぽどいいと思う。まあ、自分自身はその真逆の部類に入るのだろうが。
だが、
たったひとつ、困ったことに気が付いた。
クラウはシオンに笑いかける。
クラウはノアに笑いかける。
クラウはカルネに笑いかける。
クラウはライナにさえ笑う。
きっと、笑顔を向けないのはフロワードだけではないだろうか。
くだらない嫉妬のような、そう言い表すのには嫌悪を感じる、よくわからない思いがちらりと顔を出す。
笑いかけられたところでフロワードは何もしないし、これまでと何も変わらないだろう。それでも、思う。
どうしようもなく、苦手だと。
笑った表情が
(自分には決して向けられないその表情が)
旧拍手御礼
(2008.09.18〜11.04)
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