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ヨン竹シリーズ‐9‐* [ 190/196 ]
ピチャリピチャリと響く音。
耳を塞ごうと動かした腕は力無くヨンファの頭にしがみつく格好となる。引き寄せたいのか引き離したいのか…後者に決まっているのに。
力の入りきらない四肢は快楽に従順で、ヨンファが楽しそうに口元を動かすだけでその露を増す。
「……は、なせ」
「強情すぎませんか?――そこも好きですけど」
恥ずかしげもなく囁くと吐息で陰毛が震える。漏れた息は熱くて、まるで酔ったか熱があるのか…
ヨンファはその様子に満足したように微笑み、竹中の蕾に舌の先端で触れた。奇妙な感覚に竹中は驚いて顔を上げる。
「な――!?」
「男同士は、ココで繋がるんですよ?ご存意でしたか?」
「つなが…?…放せ!!」
暴れ始める竹中の足をいささか乱暴に掴むと思いきり開かせる。淡い色をした蕾に軽く舌を差し入れる。
入りはしないのだが入り口近くを解きほぐすことは可能だ。ヨンファは根気強くその行為を続ける。
やがて僅かに緩み始めた蕾に、指をあてがう。ビクリと体が震えるのにも構わず己の唾液を絡めた指をそっと挿入させていく。
特に大きな抵抗はない。――勿論腕や足などによる抵抗は健在ではあるが
とはいえ念には念を、とヨンファは何処から取り出したのかローションを蕾の上に垂らした。突然の冷たさに竹中が眼を見開くと、ヨンファは優しげに竹中の頭を撫でてやった。
「ただのローションですから。害はありません」
そういう問題じゃない、と竹中は言いたかったのだが言えなかった。
ヒヤリとした冷たさを感じさせたそれは、体内の熱ですぐに暖まった。先ほどよりいっそう水音が増し、そのことで竹中の顔が歪む。
ゆっくりと、躊躇いは見せずに押し入ってくる指。微かに内壁に爪が当たり、痛みを感じる。僅かに苦痛の声を漏らせばヨンファは嬉しそうにそれを蠢かせた。
始めは一本だった指が、二本、三本と増えた。圧迫感はどちらにせよ強く、呼吸さえし難い。
声を出すのがひどく癪に障り、唇を噛んでそれをおさえていた。
「竹中さん……いいですか?」
切羽詰まったような声。だが、それは自分以外の人間にも囁かれた言葉なのだろう。それは当然といえば当然だし、この年にもなって童貞ということもあるまい。
仮にいたとしてもそれがヨンファである、ということだけはないような気がする。彼の慣れたような手つきがそう感じさせた。
「好きです」
だけど、その言葉だけはどうしても拒めなかった。
――これを恋愛感情と呼べるのかわからないのだが。
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