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ヨン竹シリーズ‐7‐ [ 188/196 ]
ドンと壁に押しつけられる。背を打つ痛みに眉をひそめると目の前にはヨンファの顔。
すぐに唇が合わせられる。コレで何度目だったか…三度目。思ったよりしていない。もっと何度もしているような気がしたのに。
ヨンファは何かに焦ったように竹中の舌を追い、絡め取る。竹中はただ呼吸をするだけで精一杯だった。
ふと、このキスの相手が他の誰かだったとしたらどうなのだろうと考える。菊政にされたキスはほんの一瞬。だけど驚きだけでない感情が浮かんだ。
――違う
ヨンファだから…
永遠のように長く思えたキスが終わる。肩で息をしながらヨンファを見れば彼はひどく悲しげな…今にも泣き出しそうな子どものような顔で竹中を見ている。
「そんなに…嫌ですか?」
答えようとした唇に指を当てられる。
何も言うな、と。
壁に押しつけられていた体を抱き寄せられ、背中を優しく撫でられる。
「あなたを壊してしまおうかと、思いました。でも……そんなに嫌なら、おれは≪いそかぜ≫から消えます」
どこへ?
「行き場くらい、自分で見つけますから」
違う
違う
「あなたは信じてくれたかわかりませんが、おれは本当に竹中さんが好きでしたよ」
手の力が緩められる。
竹中はぎゅっとヨンファの背に手を回した。
「、だ」
もしかしたら間違いかもしれない
「好き、だ」
「…誰を」
だけど
「少佐を」
「……どんな意味で」
一人きりでいるヨンファを、放っておきたくなかったから。
「…………『こういうこと』だ」
そっと、壊れ物に触れるようなキス。
僅かな時間…数秒ほどで離れるとヨンファの見開かれた目が見えた。
「……あなたは、本当におれを煽るのが巧いですね」
「あお…?」
「好きですよ」
そう言うとヨンファは竹中のズボンの中にするりと手を差し入れてきた。
「少…佐?」
「少し、じっとしていてくださいね…」
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