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ヨン竹シリーズ‐3‐ [ 184/196 ]

自信ならあった。

もちろん、根拠なんて欠片もない。ただの自意識過剰と言いたいならば言えばいい。


でも、おれの自信はたしかに当たったのだ。




「どうかしましたか?」




声をかければ竹中の体がビクリと震えた。
その様子に笑い出しそうになるのをどうにか堪え、もう一度、今度は竹中の肩に手を置いて耳元で囁いた。



「どうか、なさいましたか?」



再度震える竹中。

笑いを堪えるのに疲れながらも真剣な目で竹中を見る。



言いたいことも、どうして震えているのかも、

おれを意識し始めたことも



全部わかっているから




「……この間のことなんだが」




ほら、ね



「この間?」

「あ、ああ」



しどろもどろになる竹中を見てほころびかけた口元を慌てて引き締める。


「……おれは」


その先を促そうかと思ったが、それでは意味がないのだと自分を抑え、後に続く言葉を待つ。



「おれは、『物』なんかじゃないっ!!」



……?



「…あの、どうしたらそういう話になるんでしょう?」

「五月蠅い!!」



竹中は顔を真っ赤にして怒鳴る。
ここまで感情を表すのも珍しい。



「とにかく、おれは物なんかじゃない!!艦長にだって物扱いされたことはない!!」

「…はあ」

「艦長は人を物扱いなんてしないからな!!!」

「おれだってしてませんよ?」

「した」

「いえ、してません」

「した」

「してません」

「とにかくした」



なんだかいきなり駄々っ子になったような態度の竹中に、ヨンファはため息を吐いた。



「物扱いなんてできるわけないじゃないですか」

「?」

「――こういうことです」




ヨンファはその柔らかい唇に己の唇を重ねた。




そして、今度こそ本当にフリーズ状態となった竹中の意識が戻るのを今か今かと待つことになる。




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