ダメダメ戦隊 | ナノ
第17話 英雄の弱点-4-
「で、その日はすぐ雨が止んで、ソイツを探しに行ったけど見つからなかった。しばらくその公園に通って探したんだが、ソイツには会わなかった」
そこは蒼の家から少し遠い公園で、普段遊びに使うことはほとんどなかった。だから探しに行くのが少しずつ減っていった。
いや、蒼が「見つかるはずがない」と思ってしまったからだ。
……そもそも子供が雷に撃たれたらご近所を騒がす大ニュースになるわけで、あの少年が雷に撃たれた可能性は低いのだが、
幼い蒼はそう信じてしまった。
そしてあの少年は見つからないまま……
「うん……そっか」
まだ幼い子供が1人で雷の音を聞いていたらトラウマにもなるかもしれない、と碧は思った。だから蒼は雷が怖いのだ。
でも、本当に怖いのは――
「あのさ」
「何」
「手、握ってなさいよ」
「は?」
「あたしが怖いの!だから、握ってなさいよ」
「…………わかった」
そっとまた手を握る。少し汗ばんでいた。
「ねぇ」
手に少し力を込めた。
「Eコレンジャーは……あたし達は、どっか行ったりしないよ」
***
「俺が見つけてきたのはこのブーメランだ!」
「灰皿」
「俺、魔法の杖みつけた!」
「靴べら」
紅と太陽が見つけた武器を蒼が次々と投げ捨てていく。
それなりに量はあったのだが、あっという間に何もなくなってしまった。
却下された武器たちを戻すよう言われた紅が「くそ……もう少し時間があれば」と呟いている。
蒼は「バイト行く」と言って帰ってしまったので4人でお片付け、という状況だ。
何だか紅が可愛く思えて「雷に怯えてる時間なければ時間あったしね?」と冗談めかして言ってみた。
と、紅は妙な反応をした。
「お、お前……どっから見てた!?」
……どうやらうちの男性陣には雷嫌いが多いらしい。
「えーホントに怖いの?」
「別に怖くないぞ!」
「ふーんアンタ雷怖いの?可愛いじゃなぁい」
「先輩雷怖いのか?何でだ?」
「雷の中かくれんぼでもしてたんじゃない?」
それは完全にただの冗談だったのだけれど……
「何で知ってんだよ!?」
…………気のせい、ですよね?
よくあること、だよね?
うん…………聞かなかったことにしよう。
それに、せっかくのアイツの弱点、もう少し見ていたい気もするしね!
‐END‐
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