ダメダメ戦隊 | ナノ 第17話 英雄の弱点-3-




「いーち、にー、さん、」


結局2人で遊ぶことにしたのだが、少年が選んだ遊びは「かくれんぼ」だった。
2人だけでかくれんぼって虚しくないのだろうか。蒼は幼いながらも虚しさを感じながら少年が数を数えるのを待っていた。

先ほど蒼が鬼をした時は、少年は木の上にのぼっていた。お前は猿かと思ったが下から丸見えだったのですぐ見付かった。
そんなわけで、今度は蒼が隠れているのだが……

ドームのようになっている遊具の空洞部分で体育座りをした蒼は一つ大きな欠伸をした。


(そういえば、どこまでかくれていいとか、きめてなかったなあ)


ぼんやりそんなことを考えていたら、意識が薄れていった。



   ***



――ザァアアアアア


肌寒さに目を覚ますと雨が降っていた。
あの少年はどこだろうと辺りを見回すが、姿がない。公園の外まで探しにいってしまったのかもしれない。

雨が止んだら探しにいこう、と思う。


(ぬれてないかな)


風邪、引かないといいのだけれど。

やっぱり探しにいこうと立ち上がり、ドーム状のそれから出ようとしたその瞬間――空が鳴った。


「――ッ!?」


心臓が震える。

雷だ、と理解するのに時間がかかった。蒼は雷が鳴っている最中に外にいたことがなかった。だから、家の中からしかその音を聞いたことがない。
初めて聞く本当の音は、あまりに大きかった。

あれがまた鳴るのかと思うと、一歩も動けそうにない。その一方で早く家に帰りたいと思う。
あの少年は、蒼を置いて帰ってしまったのだろうか?
震えている間にも空は光り、鳴りつづける。雨は強いものへ変わっていく。


(こわいこわいこわいこわいこわい)


もしも1人じゃなかったら。あの少年がいたら少しは強くなれたかもしれない。
けれど今、蒼は1人だ。

もしも少年が雷に撃たれていたら――
少年が諦めて帰ってしまったのなら少年を恨むだけでいい。それから眠ってしまった自分を反省すればいい。



けれど、少年にもう会えなかったら――


雷が、少年を連れていってしまっていたら――




雷が鳴っていた時間は5分にも満たなかっただろう。その間を、蒼は永遠のように長く感じていた。








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