ダメダメ戦隊 | ナノ 第13話 英雄の欠席



*なんか今回はシリアスっていうか若干テンションが低めな仕上がりになってしまいました







「よし、明後日は敵の基地を探しに行くぞ!」

レッドである彼がそう言った。それは本来ならとてもわくわくするようなことだったのだけれど、その中に含まれた「明後日」という単語が綾小路碧を落ち込ませた。
明後日は土曜日で、土曜日といえば本来なら彼女の通う中学は休みだった。
……けれど明後日は違う。
その理由を思い出し、碧はため息を吐いた。

「あたし、パス」

短くそう言うと、仲間たちは驚いたように碧を見た。理由を求めていたことはわかったが、碧はわざとそれを無視した。




   英雄の欠席




ピンクじゃないのはすごく不満だったけど、碧はEコレンジャーのことが嫌いではなかった。むしろ楽しいところだと思っていた。
仲間たちといると少しの嫌なことは忘れられる。それに、正義のために戦える。

――ただ、ピンクの座をオカマのおっさんに奪われたのがすごく不満なだけで。


「あたしの方がずっとピンクにふさわしいのに……」

何てったって紅一点だし。

……なんて現実逃避みたいに考えていたけど、やっぱりダメだった。



「授業参観、か」

そう、今日、碧の通う学校では授業参観が行われている。
背後には母親らしき人たちの気配。それからそわそわと後ろを振り返る生徒たち。
教師も少しかっこつけた感じに普段はつけないネクタイなんてつけている。

……馬鹿みたい。

土曜日に行われるとはいっても忙しい彼女の両親がそれに出るのはとても難しい。だから、碧は言わない。無理してまで来てほしくないから。
でも、見に来る人のいない授業参観なんて意味がない。

それなら学校なんてサボってEコレンジャーの仲間たちと敵の基地探しをした方が良かった。そう後悔する。


でも……

振り返ったら、お母様がいるんじゃないかって。
振り返ったら、お父様がいるんじゃないかって。

知らせなかったのは碧自身なのに、希望を捨てきれない。



「……馬鹿みたい」


今度は自分自身に呟く。

どうせ碧を見に来た人なんてどこにもいない。自分に諦めを教えるために、碧は思い切って振り返った。
するとやはりそこに両親の姿はなく、

だけど、振り返った碧に、怠そうに手を振る人がいて……



なんであんたがここにいるのよ、という叫びはチャイムに消えた。




- 30 -


[*前] | [次#]
ページ:


TOPへ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -