ダメダメ戦隊 | ナノ 第5話 変な5人組が現れた‐後編‐


翌日。
夕方頃に彼らは現れた。いつものように、公園に。

ただ一つだけ違ったのは、ブルーの隣に一人の少女がいたことだった。



「誰、それ」


不思議そうに首を傾げながらレッドが聞く。ブルーは何故か斜め上を見ながら答えた。


「えっと……取材」

「私、山口灰那(かいな)と申します。楓高校の新聞部に所属しているのですがこの度『楓市のヒーロー』という特集を組むことになりまして。Eコレンジャーさんに取材させていただこうと、昨日ブルーさんにお願いしたのです……御迷惑でしたか?」


長台詞を一息で終えると彼女はメンバーを一瞥した。
叩けば埃が出る…というのは少し違うが、少なくとも取材のネタには困らない、そんな奇妙な面々が並んでいる。


「取材!?すげっ!」
「私たちも有名になったもんね」
「オカマなおっさんがいるからじゃない?」

イエローは心底喜んだ犬のように、ピンクもそこそこ嬉しそうに、グリーンはさほど興味無さそうだったが手はしっかりとガッツポーズ…
それぞれ良い反応をしたのだが、ただ一人、レッドだけが真剣なオーラで黙り込んでいた。
灰那は自分の言動に何か問題があっただろうかと不安に思うが、すぐにその不安は解消されることになる。



「もっとかっこいい格好にすれば良かった……こんな、こんな、お面で俺たちは新聞の一面を飾るのか!?」


……一応恥ずかしい格好であることには気付いていたらしい。
しかも灰那はただの一言も『一面』とは口にしていない。



「今からでも遅くないわ!チャイナ服で揃えるのよ!!」
「…パンクとロリータでいいじゃない」
「いっそ皆でタンクは……」


「「「それは駄目」」」



「……別に今のままでいーじゃん。今更だし」


それもそうだ。いったい何話この格好でやってきたことか…


「あの、取材を始めても大丈夫ですか?」
「は、はい」


心なしか答えたレッドは緊張でカチコチだった。



「それではどうしてEコレンジャーを組もうと思ったんですか」
「は、はい。俺の天職だと気付いたからです!」

「メンバーはどのようにして?」
「ブルーは親友なので快く入ってくれて、イエローも後輩なので二つ返事でOK。ピンクとグリーンは貼り紙で募集しました!」

俺快くなんて承諾したっけ?とブルーは首を傾げた。


「今までにどのような事をなさったんですか」
「悪魔を倒したり、人類の敵を滅多斬りにしてきました!」






……と、このような質問とそれぞれへの不可思議な質問が繰り返された。



「では最後に写真を一枚お願いします」



灰那の言葉と共に4人がポーズを取る。ブルーは言わずもがな…いつものダルそうな雰囲気で立っているだけである。


「ありがとうございました。また何かあったらお願いしますね」



そして灰那は去っていった。







   ***



「ふーん、これがEコレンジャーか。何かマヌケっぽいね」
「でもオレンジ、こいつら悪魔とか倒してるんだろ?」
「……ブラック、それはたぶん勘違いだ」
「でもさ、よくこんな資料できたねグレー」
「……ちょっと、ね」


グレーと呼ばれた少女は微笑むと、


「利害の一致、ってやつかな」


今度はクスクスと思い出し笑いをした。他の4人はただそれに首を傾げるのだった。


彼らの名は『トラッシェンジャー』。
正義の逆、つまり悪であることをモットーとする5人組である。
その悪事の恐ろしさときたら、誰1人として口にはできない……

と、本人たちは言う。
しかしあくまでこの話はダメダメ戦隊。まともな敵など現れるはずがない。

つまり、彼らも…


「よし、果たし状書くぞ!」
「「おー!!」」
「「………」」


少なからず、ダメダメであることにかわりはないのである。







   ***




「なあブルー、灰那ちゃん可愛かったな」
「………そう?つか趣味悪いんじゃないかレッド」




様々な所に嵐の種を撒きながら、

とりあえず次回に続く。




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