ダメダメ戦隊 | ナノ
第5話 変な5人組が現れた‐前編‐
今思えば全ての始まりはひとつの噂にあったのだ。
変な5人組が現れた
…と、いう噂に。
いつもの如く公園のベンチに座っているブルー。その横にグリーン、ピンクがブルーをはさむように座る。
イエローとレッドは3人の正面に立っている。
「変な5人組……?」
……いや、それって普通に考えて俺たちのことではありませんか?
しかしレッドたちはそんなこと露ほどにも思わないらしい。
「5人組…キナ臭いわね」
「ついに悪のヒミツケッシャが現れたんだな!!」
「やぁん、あたしこわーい」
「アンタ気持ち悪いわよ」
「どっちがよおっさん」
だからどうして彼等には5人組の正体がわからないんだろうか。
ブルーはちょっと目眩がしてきそうになる。
「……だいたいさ、『変』なだけなんだろ?」
「違うぞ噂によるとそいつらはかなり悪どいことをしてるらしい」
「どんな?」
「さあ?」
「知らないのかよ…」
どうせ『公園でこどもを泣かせた』とかそんなことだろう。悪どいことかどうかはおいておいて。
「だからその5人組をどうする気なんだお前らは……」
これには綺麗な4重奏が。
「「「「成敗あるのみ」」」」
……うん、実に君達らしい答えだね。
でも君達は知っているのかな。5人組がどこに現れるか。
もしその答えが『公園』だとしたら間違いなく自分たちのことだろう。他ならぬ、Eコレンジャーの…
ブルーはどうやって4人の興味を「5人組」からそらすかについて、頭を悩ませなければならなくなった……
***
さて、場所は代わってここはとある公園。勿論Eコレンジャーのいつも居るあの公園ではなく、まったく別の公園だ。
その公園のごみ箱を烏……失礼、黒いお面をかぶった男があさっていた。その隣には白のお面の男が手伝うようにごみ箱を引っくり返している。
どちらも毎週日曜日のヒーロー、ヨウレンジャーのお面を絵の具で着色しているらしい。うっすらと地の色が見えていた。
その2人から少し離れた所には3人の人間。こちらはお面こそつけていないものの、十分不審者だ。忍者のような頭巾と口元を隠す布。色は紫、オレンジ、灰色で統一されている。
なんというか、目立つことこの上ない。何故なら今はまだ明るいからだ。
「そういや聞いた?変な5人組の噂」
オレンジの布を巻いた小柄な少年が2人に声をかける。
「何、ついに俺たちが悪と認められたの?」
「………」
黒い面は嬉しそうに、白は特に何も感じていないように振り返る。
「……残念だけど、別の5人組」
灰色の布の女はさほど残念そうには見えなかった。
「あ、知ってる。Eコレンジャーでしょ?」
「パープル、何で知ってんの?」
「うちの真ん前の公園でよく叫んでるもの。グレーも見たよね」
「うん」
「一応正義の味方、らしいし、どうするブラック。悪に正義はつきものだけどさ」
ブラックと呼ばれた男はおそらくお面の下でにやりと口元を歪ませた。
「グレー、パープル。やつらの周辺を探れ」
***
先ほどの公園から徒歩25分。パープルの住むマンションの目の前にあるそこには何故か子どもたちが少ない。
というのも、例のEコレンジャーのせいである。そうパープルは言っていたが実際どうなのだろうとグレーは思った。
木陰からEコレンジャーの様子を見る。
ほぼ同じテンションの4人から一歩離れた所に、明らかに体中から『面倒くさい』オーラを放出している男が立っている。
彼等は5分ほど何かを話し合う(実際は喚き合っていたように見える)とそれぞれ別れの言葉を交して公園を出ていく。
「どう思う?」
「……どうって?」
答えながらもグレーは別のことを考えていた。あのEコレンジャーの、おそらくはブルーらしいあの男が気になったのだ。
「パープル、私ちょっと用があるから帰るね。また明日偵察しましょう」
そしてグレーはブルーの後を追い掛けた。
「あの、Eコレンジャーのブルーさん」
「…?」
「……………」
「………それは…!?」
彼女はくすりと笑った。
「お願いというか、交換条件があります」
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