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あけましておめでとうございます(シオライ)*
2011/02/17 00:39

あと少しで、日付が変わる。

「今年はどっちが勝つかな?」
「白じゃねーの」
「たしかにまた勝ちそうだな」
蕎麦も食べ終え、後片付けも終えた。今はのんびりと炬燵タイム。向かい合うようにして炬燵に入ると、時折足が触れるのがなんともこそばゆい。
「なあ」
「ん?」
「今年最後のセックス、しない?」
「死ね」
ライナはそのまま炬燵のテーブルに顔を伏せ、寝たふりを決め込む。

と、そこまではまあ、半分くらいは冗談だったのだけれど。ふと悪戯心というやつがむくむくと顔を出した。ので、そっと右足を動かしてみる。
手探りというか、足探りで、問題の個所に触れる。ビクッと身体が跳ねる。力を込めすぎないように、視線はテレビに向けて。つま先でそっと触れるように刺激する。
「お前……」
「ん?何かな」
「そういうのやめろよ」
眉間に寄った皺を見て、けれど理解していないフリをする。
「何のこと?」
盛大にしかめられた顔に、そろそろ怒られるかな、と苦笑する。
それでもライナの顔は少しずつ赤くなってきている。炬燵で逆上せたせいもあるのだろうけれど、それだけではないことはよくわかる。つま先に触れていた柔らかなそれは少しずつ硬度を増していった。
逃げればいいのに、こちらを睨んだまま動こうとしない。もしかしたらもう腰が抜けてしまっているのかもしれない。
潤んだ目もとにキスしてやりたいと思うけれど、とりあえずは我慢する。
「……う、」
少し力を込めて先端の辺りをぐりぐりとしてやると、への字になっていたライナの口から僅かに声が漏れる。
「シオン……それ、やめろって…」
「え、何を?」
知らんぷり。と思ったのだけれど、ライナももう限界らしい。シオンもそろそろ我慢ができそうになかったから、まあいいかとそこで悪戯をやめる。
「気持ち良かった?」
「やっぱりお前……気持ち良いわけあるか!」
やはり腰が立ちそうにないライナの耳元に顔を近づけ、囁く。

「続きはベッドで、な」

あ、睨んでる睨んでる。


ライナは眠るのだと主張しつつ大人しくベッドまでついてきた。
じゃあ寝かせてやろうかなと思ったりもする。冷めない熱にうなされてなかなか眠れないライナをじっと見ているのもきっと悪くないから。
けれど今日のシオンの気分はそうではなくて。ここで解放する気なんて更々ないわけで。
とりあえず、ベッドに押し倒す。

「……俺もう寝るって言ったよな」
「ん、そうかも」

そのまま唇を重ねると、大人しく目を閉じる。

「気持ち良くなかったんじゃなかったけ?」

ズボンを下着ごとおろしてやると立ち上がった彼のものが目に入った。先端がわずかに濡れている。
「こんなに濡れてるけど」
「うるさい」
このままじゃ寝れないだろうから楽にしてやるよ、なんて言いながら、そこを刺激してやる。
いいかげんにしろとか、俺はもう寝たいとか。わめく声はすぐに止んだ。
「ね、ライナ。セックスしようか?」
笑顔で言ってやったら、睨まれたけれど嫌とは言われなかった。



   ***


今年最後の性行為と考えるとなんだか感慨深いものがある。ライナの表情、動きの一つ一つを観察してしまう。おかげで焦らすなと怒られてしまったわけだけど。
それでも、ライナが潤んだ目でシオンを見上げてくると、我慢ができない。衝動のままに唇を重ねる。ライナの口内で困ったように震えている舌を絡め取るのすらもどかしく、口づけたまま手探りでローションを指に絡ませる。キスに夢中になっているうちに、と思ったわけではないのだけれど、そのまま濡れた指を小さな穴にねじ込む。
「っ!」
舌をシオンの口内の方へ引き込まれていたからか、どうにか口を閉じないように声を我慢するライナ。
そのままだとまた睨まれそうだったので、指をぐりぐりと動かす。
「っ……ふ、ぐぅ」
二本目の指を入れたところでようやく唇を離す。お互い、呼吸が荒い。いや、ライナの方がずっと荒いのだけれど、シオンもシオンで我慢しているのだ。

本当は今すぐ慣らしなどせず突っ込んでしまいたいくらいライナに夢中だから。
それでもライナが好きだから傷つけたくないだけで。
ドロドロに溶かして、気持ち良くさせてやりたいと思うのもまた本当だから。

「ふ、はぁ……いいかげんに」
「もう3本も楽に入るようになった」
「……うるさい」
「なあ、ライナ。俺だからこんな風になるんだよな」
「うるさい」

軽く殴られる。
当然ながら力は全く入っていない。というか入らないのだろう。
さすがにそろそろ挿入しないと体力がもたないかな、と体制を変えようとしたとき。
音が響いた。



「あ」



思わず動きが止まる。時計を確認する。ああ、と苦笑する。
ライナは不審そうにこちらを見ていたが、やがてその音が耳に届いたのか、ため息を吐いた。

やがて、最後の一回が鳴り響く。


「ええと……あけまして、おめでとうございます」
「……あけおめ」
「今年もよろしくお願いします」
「ことよろ」


呆れたように、それでも最低限の二言を返してくれるライナ。

「で、続きなんだけど」
「……はあ」

ため息。
けれどこんなところでやめたら辛いのはライナも同じなわけで。
本当は去年最後のセックスになるはずだったのに、今年最初のセックスへと変わっていたのは……まあ、仕方がないだろう。始めたのが遅かったのがいけない。

新しい年になったことだし、初詣で神に祈ることも決めておこうとばかりに、シオンは唇を動かした。ただ、音にはせずに。
(ライナが俺の子供を孕みますように)

そうして、ずっとずっと一緒に居られますように。










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