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生キャラメル×ヨーグルト(??×ライナ)
2011/06/02 22:24

 生キャラメルはヨーグルトのライナが気に入らなかった。
 というのも、このオルラ牧場でのナンバーワンはいつだって生キャラメルなのだ。女子供にもてはやされ、売上ナンバーワンの位置からちっとも落ちない。だから牧場の中で生キャラメルは憧れられる存在だった。
 それなのに、ヨーグルトのライナだけは違った。
 生キャラメルがどんなにもてはやされていても、ヨーグルトだけは生キャラメルのことなんて興味なさそうに欠伸を噛み殺すのだ。
 それが悔しくて、考えた。
 あの真っ白なヨーグルトを生キャラメルの色で染めてしまったらどうだろうと。
 生キャラメルに染まってしまえばきっとヨーグルトも生キャラメルを無視なんてできなくなるに違いない。だから、生キャラメルはヨーグルトを押し倒した。
「何? 俺、眠いんだけど」
 押し倒されているというのにヨーグルトはどうでもよさそうに欠伸をしている。
 その白さに、ドキリとする。
 いつも見ているのに、自分が今からそれを自分の色に染めていくのだと思うと妙に胸が高鳴った。
 どろどろのヨーグルトを口に含むと生キャラメルの色もわずかに変化していくような気がした。それには気付かないフリをして、ヨーグルトをとかしていく。気持ち良さそうにするヨーグルトを見ていると生キャラメルもとけていくようだった。熱い。
 熱を持った生キャラメル自身をヨーグルトに流し込んでいく。ヨーグルトは熱さにびくりと体を震わせた。
「あいしてる」
 ああ、ヨーグルトが気に入らなかった理由が今、ようやくわかった。だってヨーグルトは生キャラメルをちっとも見ないのだ。だから、悔しかったのだ。
 それがようやくわかって。けれどだんだんと生キャラメルの意識は薄れていった。きっともう目覚めることはないのだろうと気付きながら。ヨーグルトを道ずれにしてしまったことを少しだけ申し訳ないと思いながら。
 それでもヨーグルトと一緒に最期を迎えられたことを嬉しく思って。



 後日、オルラ牧場に生キャラメルヨーグルト味が誕生したという。




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