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久方ぶりでございましょうか



久しぶりに街の塾に行ったとです。


「終わんのは昼過ぎだっけか?」

「うん、そうだよ。でも私悟飯と一緒に帰るから大丈夫。わざわざありがとうね、お父さん」

「いいって!悟飯は夕方だな?」

「はい」

「2人とも、しっかり勉強してくんだぞ?」

「お父さんも就活頑張ってね」

「はは…おう…」


なんだか背中に哀愁を漂わせたお父さんは少し遠い目をしたのち、瞬間移動で帰って行った。人気のない路地裏に残された私と悟飯は、教材の入った鞄を背負い直す。


「久しぶりだねぇ、ここに来るの」

「随分休んじゃってたからね。知ってる先生いるかなぁ」

「いるでしょー」


自分たちの教室に向かうべく階段を上る。時々見知った先生とすれ違い、驚かれながらも私たちのことを覚えてくれていたらしい先生たちは気さくに話しかけてくれた。


「じゃあ僕、この階だから」

「うん。終わったらここの屋上に集合ね」

「わかった。じゃ、また後でね、お姉ちゃん」

「またね」


悟飯と4階で別れ、私は再び足を動かす。余談だが、私と悟飯は塾は同じだけれど、年齢が違うから教室のある階が別なのだ。ちなみに私が6階、悟飯が4階である。

久しぶりの教室に緊張しつつ、いつまでもこうしているわけにはいかないからと恐る恐る取っ手に手をかけ………ようとした瞬間なぜかドアが勝手に開いた。


「あ」

「……え…え、えッ!?えぇええええええええ!!!!シュエじゃんッ!!うわ、シュエだッ!!久しぶりだなぁああああああああ!!!!!!」

「ぎゃッ!!ちょ、くっつくなバカッ!!!」

「なんだよなんだよ!!あれから一切連絡来ないから心配してたんだぞ!!どこほっつき歩いてたんだよぉー!!!」

「おかんか己はッ…!!」


例の塾が同じな友人(今更ながら名前をナガトと言う)は感極まったのかなんなのか不明だが私にしがみ付いたまま泣き出した。ちなみに言うけど、ここは入り口でしかも教室の一番前にあるから自然とみんなの注目の的になるわけで。おいやめろ今すぐ離れろナガトぉおおおおお!!!


「シュエちゃーん!やっほー。髪短くなったねー」

「ん、まぁね。いろいろあったから」

「似合ってるよ?」

「どうも」


げしげしとナガトを蹴り飛ばし、引きはがすことに成功した私は一番後ろの自分の席に座った。なんだかナガトからすすり泣く声が聞こえてくるような気もしなくはないがきっと気のせいだろう。
ざっと教室内を見渡す。久しぶりに見たクラスの面々は、どうやらあまり変わってはいないらしい。それに内心ほっと安堵していたのは私だけの話。
入って来た先生までもが以前のままだったのにはさすがに驚いたのだけど。


「う…うぅ…シュエ、酷い…」

「はいはい、泣くな泣くな。男だろ?早く席につけ。な?」

「ぜんぜぇぇえええ…!!昔のシュエはもっと素直でかわいかった…!!」

「お前私の何を知ってんだよ」


深く溜め息をつく先生と苦笑するクラスメイト。小さい頃から何も変わらないこの空間が酷く心地よくて、思わず腹を抱えて笑った私であった。





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ここからオリキャラが割と多めに出現します。


ナガト…以前からちょくちょく本編に出現していた元名のない友人。塾のクラスメイト。シュエと仲がよく、シュエが塾に入学した当時(5歳)からの付き合い。手先が器用で、シュエ限定で髪をいじるのが好き。心配性のわんこ系男子。
赤みがかった茶髪に同色の目。なんかサイドがぴょこんとしてる。

以上オリキャラでした。






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